国際法をわかりやすく解説 国家総合職・外務専門職

Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加
はてなブックマーク - 国際法をわかりやすく解説 国家総合職・外務専門職
このエントリーをはてなブックマークに追加

国際法をわかりやすく解説 国家総合職・外務専門職

 

うぷ主が公務員試験で勉強してきた内容を語るシリーズ。

 

突然で申し訳ございませんが、

今回から急に国際法を語ろうかと…

 

 

国際法が出題される試験種

 

各公務員試験に於て、国際法が出題されるのは以下職種です。

  • 国家総合職
  • 外務省専門職
  • 国立国会図書館

 

国家総合職、所謂キャリア官僚ですが、

院卒者試験の行政区分、大卒程度試験の法律区分で出題されます。

 

いずれも

1次試験の択一で3問、2次試験の記述で1題が出題されます。

 

1次試験は選択科目なので、別に選ばなくてもいいですし、

うぷ主が受験した当時は、例えば「国際法3問中1問だけ解いて、後は別科目で解答」みたいな解答も許されました。

 

今はどうか知りませんが、

分る問題だけ摘食いできるのは有難いですよね。

 

外務省専門職では、

1次試験で択一、記述の両方やっちゃうんですが、

両方で国際法が必答です。

 

まあ、そうか!

 

国立国会図書館は、うぷ主はよく知らないんですが、

2次試験の専門択一及び専門記述で国際法が選択科目になってます。

 

国家総合職で専門記述の1科目として扱われてるので、それなりの科目ではありますが、

外務専門官を受けない限りは回避可能な科目でもあるので、

微妙な扱いですね。

 

 

国際法とは?

 

そもそも国際法とは何でしょうか?

 

ざっくりいえば

「国と国との決り事」

です。

 

名前的に「法律かな!?」と思うかもしれませんが、

法律ではありません。

 

法律というのは1つの国の中で適用される決りです。

 

米国に行ったら、日本の銃刀法は通じないでしょ!

 

なので法律とは別物です。

 

じゃあ、「法律じゃなかったら何なのか?」と聞かれると、

「独自の法形式」としかいい様がありません…

 

 

国際法の構成要素

 

国際法には幾つかの構成要素があります。

 

構成要素の事を、専門用語で「法源」といいます。

 

 

形式的法源

 

国際法の代表的な法源です。

 

条約と国際慣習法です。

 

 

条約

 

国と国との約束を文書にしたものです。

 

国際法の基本となるルールです。

 

幾つか種類はあって、

 

立法条約は、

世界や特定地域の共通規則を決めましょう的な目的で、沢山の国に入って貰いたい条約です。

 

契約条約は、

国同士の約束を決めた、正に契約の如き条約です。

 

解放条約は、

新規加盟国にどんどん入って貰いたい条約で、

 

閉鎖条約は、

2国間、もしくはそれに準ずる位の数の国だけで、ご新規さんを入れない条約です。

 

アイドルで例えれば、

AKBが解放条約、

タッキー&翼が閉鎖条約

といった風でしょうか。

 

立法条約と契約条約

解放条約と閉鎖条約

が対比関係にあります。

 

共通していえるのは、

条約に入ってない国は守らなくていい。

 

当り前ではありますが、

例えば「核兵器を廃絶しましょう」条約があったとして、

「俺そんな条約は知らん!」と言出す北朝鮮の如き国が、然し法的には問題なしという結論になってしまいます。

 

それがいいのか?

っていわれたら、なかなか深い問題ですよね。

 

 

国際慣習法

 

慣習国際法ともいいます。

 

呼び方はどっちでもいいので、

お好みでどうぞ!

 

名前の通り、慣習がそのまま法になっています。

 

礼節や道徳がそのまま法扱いになったのかというと、

そうでもありません。

 

一応、定義がありまして、

「法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習」

だそうです。

 

何書いてるかさっぱりですが、

国際慣習法の成立には

  • 一般慣行
  • 法的確信

の2つが必要とされています。

 

 

一般慣行

 

利害関係国を含む沢山の国が同様の行いを繰返し継続してやってる

のをさします。

 

最も古い国際慣習法に「公海自由の原則」がありますが、

海に面してない国が主張してもしょうがないでしょ。

 

ただ注意しなければならないのは、

形成には利害関係国云々がいわれますが、

一旦、国際慣習法が認定されると、利害があろうがなかろうが守らされます。

 

利害関係国は成立過程の話なのでご用心を。

 

「 ‘沢山の国’ ってどの位の数!?」

っていうと、特に数字上の決りはないです。

 

国の数は時代によっても変わりますからね。

 

どんな事を繰返し継続してやったらいいのかというと、

本当に色々ですね。

 

外交、政策や声明、国内裁判、議会の立法、行政行為、国際会議の議決、等

 

あらゆる国家の行為の積重ねが国際慣習法を構成しうる、という事でしょうか。

 

これらの行為は統一的でなければなりません。

 

ある行政行為では「水」といったのに、

別の行政行為では「油」というと、

水と油は完全に矛盾してますから、統一的ではなくなります。

 

ぴたっと一致する必要まではないかもしれませんが、

大王イカ

大王ホオヅキイカ

位の差に留めておくべきでしょうね。

 

これらの行為ですが、じゃあどの位継続してやったらいいのかというと、

時間的に圧倒的な長さが要求される訳ではありません。

 

勿論、数ヶ月で「慣習法です!」とはいかないでしょうが、

十年程度で慣習法と認定された判例もあります。

 

十年も決して短くはないですが、

50年、百年もいらないんですね。

 

 

法的確信

 

「これは法として守るべきだろうな」

と思ってるのをさします。

 

「所詮は道徳でしょ」

では国際慣習法にはなりません。

 

この違いが一般人には非常に難しいんじゃないかなあと…

 

例えば、

大体どこの国でも

「殺すな」「盗むな」「犯すな」

は犯罪じゃないですか。

 

「ここは未開の国です。

近代的な刑法もありません。

だから我々、先進国の人間は盗んでいいんです」

とはならんでしょ。

 

法的な権利義務を課す以上はね…

 

実際問題は、その線引きが非常に曖昧だから、

総論として「こうです!」とはなかなか言い難いです。

 

個々の事例から判断した方が早い気はします…

 

 

国際慣習法の特徴

 

国際慣習法には、条約とは違う大きな特徴があります。

 

①どっかに書いてるとは限らない

 

いわば ‘暗黙の決り’ です。

 

「どこにそんなの書いてるんだ!?」

が通じないんですね。

 

②全国家を拘束する

 

条約の場合、その条約に縛られるのはその条約を結んだ国だけです。

 

一方、国際慣習法の場合、全ての国が従わねばなりません。

 

しかも、合意してなくても!

 

漠然としてる割に拘束力が強いんです!

 

 

マイナーな学説

 

国際慣習法に関しては、マイナーな学説が幾つかありますのでご紹介します。

 

①法的確信を不要とする学説

 

国際慣習法の形成に、一般慣行だけでいいとする説です。

 

どの行為に法的確信があるのか判断し辛そうにも思えるので、これでもいい気もしますが、

逆に法的拘束力がないからこそ周りの国に合わせてる行為もありますので、現実的には取り難い学説です。

 

②一般慣行を不要とする説

 

法的確信だけでいいとする説です。

 

この学説は、国連総会で採択されたものは慣行は必要ないんじゃないか、と主張します。

 

「国連が決めたんだから!」っていうのはごもっともですが、

総会決議って、法的拘束力がないんです。

 

だから各国はその前提で総会決議に賛成しています。

 

噂によると、

総会決議に賛成しておきながら、実際にはその決議を守らない国もあるらしく…

 

誠意がない気もしますが、

であれば総会決議にきちんと法的拘束力をもたせるべきであって、

やはりこの説も現実的には厳しいです…

 

③一貫した反対国の理論

 

ノルウェー漁業事件という判例から一部の学者達が導いた理論です。

 

判例が直接そう言ってるんじゃなく、あくまで解釈ですので、

「そういう考え方もあるよね」位でいいんじゃないでしょうか。

 

 

慣習法を文章に

 

不文法、詰り文章に書かれてないのが多い国際慣習法ですが、

文章化しようという動きがあります。

 

曖昧なままだと色々と開き直りの材料にできますし。

 

国連国際法委員会(ILC)という機関がその仕事を担います。

 

国連総会の任務と規定されています。

 

大きく ‘文章化’ といいましたが、

更に2つに分れます。

 

①狭義の法典化

 

既に慣習法として知られてるものだけを法典化する仕事です。

 

分り易いですね。

 

②国際法の漸進的発達

 

まだ慣習法になってないものまで条約化しようとします。

 

そうやって慣習法を意図的に作っていこうという魂胆ですね。

 

いい事にも思えるかもしれません。

 

然し、ILCの構成員は学者で、自身の学説を条文に盛込みたがるっぽいんですね。

 

後々、利害でもめたりする危険性もありますので、

これをやりすぎると返って失敗したりもします。

 

注意しなければいけないのは、

条約になったとはいえ、あくまで慣習法である点。

 

慣習法である以上、条約に入ってなかったとしても法的に拘束されます。

 

ここがややこしいですね。

 

条約は、基本的には入ってない限り縛られないのですが、

慣習法由来の条約は入ってなくても縛られる…

 

文章になってるかはともかく、

あくまで慣習法だという点が要点ではあるのですが…

 

 

法の一般原則

 

実は国際法の形式的法源には、もう1つありまして、

それが「法の一般原則」です。

 

残念ながら、条約も国際慣習法も、全てを規律はできません。

 

法が規律できてない抜け穴を「法の欠缺(けんけつ)」といいますが、

「条約も国際慣習法もないんだったら、うちらの好き放題やらしてもらいます!」

っていう無法国家の好き勝手させない為に、「条約とか国際慣習法以前に、国として守るべき決りがあるだろう」

という為に、法の一般原則があります。

 

具体的には「嘘つくな」とか「言った事は最後まで守れ」とか。

 

起源は国内法にあります。

 

「国際法になくとも、国内法にあるなら、国際法にも援用可能だろ!」

という考えですね。

 

何でこれが法源になるかで争いがあるかというと、

実はこれがICJ規定という条約に書かれた内容だから。

 

条約の内容である以上、条約の一部であって独立した法源ではないという考え方です。

 

対して、肯定派は、「ICJ規定が絡まない場面でも法の一般原則は使われている」と主張します。

 

各国が自国に都合よく国際法を曲げない為にも、法の一般原則を法源とする説の方が多数派です。

 

又ややこしいのは、

「国際法の一般原則」なるものも存在します。

 

果たしてる機能は法の一般原則と余り変わらないのですが、

「国際社会の構造に由来するもの」とされます。

 

法の一般原則が国内法を援用する形になってるのとは対照的ですね。

 

 

実質的法源

 

形式的法源が直接に国際法を構成する法であったのに対し、

実質的法源は、形式的法源、詰り条約や国際慣習法に影響を与えるものです。

 

 

判例

 

国際社会でも色々な裁判があり、判例が蓄積されます。

 

国際社会で1番有名であろう裁判所は、国際司法裁判所(ICJ)です。

 

ICJの判決は係争限りです。

先例拘束性がありません。

 

「先例拘束性がない」という意味ですが、

後の判決が前の判決の内容をひっくり返してもいいという意味。

 

結局、その争いを公平に裁ければいいのですから、

似た事案でも個々の事情に応じてより公平な判決した結果、結論が全く違うのも起こりえるでしょう。

 

とはいいつつ、国際司法裁判所の判決は2つの点で国際法に大きな影響を与えます。

 

【判決の法規認定機能】

 

判決の中で「これは国際慣習法になってる」というと、

「あ、実はこれは慣習法だったんだ」というのが分ります。

 

こうやって、「実はこれは国際法だったんだ」っていうのをしらしめる機能ですね。

 

【判決の法規形成機能】

 

国際司法裁判所の判決がよくできつるといって、新たに国際法を作っていく動きになる事です。

 

要するに ‘きっかけ’ ですね。

 

 

学説

 

国際法学者の言ってる事ですね。

 

例えば判決の中で「誰々教授の説を採用し…」みたいなのを直に書いたりはしません。

 

只、詳細な検討はしています。

 

日本の場合、裁判官は司法試験にうかった職業裁判官ですが、

国際司法裁判所の裁判官は、実は学者なんです。

 

同業者の言ってる事は必然的に参考にしますわな。

 

判例が実質的法源たる以上、判例に影響を与える学説も又、実質的法源といえます。

 

 

衡平

 

「こうへい」とよみます。

「しょうへい」とよみそうですが…

 

国際法を機械的に適用してしまった場合、現実問題として不公平が生じる場合があります。

 

そこで実質的な妥当性を図るべく出てきた概念が衡平です。

 

衡平には、更に3つの種類があります。

 

【実定国際法に反する衡平】

 

極めて主観的な衡平で、

「国際法なんかより俺の主義主張が正しいんだ!」と考えます。

 

こんなの法源たりえません。

 

それがまかり通るんなら国際法なんて必要ないですからね。

 

【実定国際法の中にある衡平】

 

条約や国際慣習法の解釈を是正します。

 

ありがちな話は、「どこまでがうちの国の海か」とかですかね!?

 

陸と違って、海は境目になる目印がありませんから、

境界でよくもめます。

 

海図上に中間線を引くとか、

海底の地形を利用するとか、

だと分り易いのですが、

実際の判例はそう単純には判決してません。

 

お互いの国の経済状態だとか、

お互いの国の大きさだとか、

そういったのを総合的に判断してます。

 

そういうのを ‘実定国際法の中にある衡平’ と扱っています。

 

じゃあ、これは実質的法源なのかというと、

そこら辺がはっきりしないです…

 

判例が少ないのか何なのか…

 

詳しい事情はよく分りませんが、

実質的な法源です! と断言するのは宜しくないでしょう…

 

【実定国際法の外にある衡平】

 

条約や国際慣習法が欠缺してる、詰りカバーしきれてない域を補う衡平です。

 

‘外にある’ とかいっときながら、

これは実質的法源と扱われてるんですね!!

 

うぷ主の主観としては、実定国際法の中にある衡平の方が法源っぽいのですが、

実定国際法の外にある衡平を実質的法源としない限り、法の抜け穴ができてしまうから、仕方ない選択なのかもしれませんね。

 

 

一方的行為

 

「法的意味のある一方的な意思表示」と定義されます。

 

「我が国は今日からこんな法を守ります」と宣言する、みたいなの…でしょうかね。

 

書いといて恐縮ですが、これには法源性はありません。

 

一方的行為については、既存の国際法で十分に決められているので、わざわざ別で法源扱いする必要がないんですね。

 

うぷ主としては、「だったら論点にあげるなよ!」と思いましたが!

 

 

国際組織の決議

 

「国連決議」みたいなのですかね!?

具体例をあげるとするならば!

 

国際組織の決議は、大きく

  • 内部の決め事
  • 外部に訴えかける

の2つがあります。

 

この内、

内部の決め事は、法源性はありません。

 

なぜなら国際組織というのは、条約に基づいて設立される所、

内部決議に関しては条約で定められてるのが通常だからです。

 

わざわざ法源として扱う必要がないんですね。

 

に対して、外部に効果をもたらす決議は、実質的法源になる場合があります。

 

「世界はこうなった方がいいんじゃないかな!?」って決議が、実際に条約になったりするからです。

 

 

纏め

 

如何でしたか?

 

まあ、「国際法とは何ぞや?」と聞かれたら、

差当り「条約と国際慣習法です!」と答えとけば大丈夫です。

 

後のは専門的に勉強する人は知っとくべきですが、

素養程度でいいなら流していいです。

 

法源性とか、ややこしいですからね(苦笑)

 

 

国際法の勉強法

 

国際法は覚える内容が多いし、各分野バラバラな感じもするので、

暗記中心になってしまいがちだと思います。

 

暗記が得意な人はいいんでしょうが、

そうじゃない人にとっては、なかなか辛いんじゃあないでしょうか!?

 

うぷ主として、最終的には暗記になってくると思います。

 

只、のっけから力技的に丸覚えするのもしんどいかと…

 

そこで、

「自分は国家の代表である」

という意識で勉強しては如何でしょうか!?

 

これは他の法律科目にもいえますが、

結局、まずは自分が実現したい事があって、そうなる様に条文や判例を使って論理操作していきます。

 

故に、

「国家の代表として、相手国に対し、どんな条約、どんな慣習法、どんな判例を使って説得•主張するか」

という観点で学習すると、

単純な暗記に留まらず、記述の際のアウトプットの訓練にもなります。

 

ぜひ、1外交官になった積りで、国際法を ‘使いこなし’ てみてはどうでしょうか!?

 

もう1つ、

「これやってもよかったんじゃないか?」

と思うのがあります。

 

判例毎に論点を纏める

或は

論理毎に判例を纏める

 

国際法では、1つの判例に沢山の論点が含まれます。

 

なので判例と論点を整理するだけでも、択一の選択肢は切り易くなるでしょう。

 

うぷ主はそこまでしませんでしたが、

今から思えばやっといてもよかった勉強法ですね。

 

 

YouTubeで動画も公開しています!!!

質問やコメント等ありましたら、以下動画からお願いします!!!

タイトルとURLをコピーしました