海洋境界画定 海の土地争い

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海洋境界画定

 

土地の争いはいつも面倒です。

 

土地は財産なので、お互い自分の利益の為に一歩も譲らないのが常。

 

それは陸の土地だけではありません。

 

海もそうです。

 

しかも、海の争いは、国の争いになるのが大概。

 

国の争いとなると、戦争を思いうかべるかもですが、

争ったらすぐ戦争となると、国際社会が不安定この上なくなります。

 

そこで国際法の出番です。

 

揉め事は法に則って公平に解決すべき。

 

では、海の国際法は、海の域で争ったら、どういう解決法を用意しているのでしょうか!?

 

 

紛争の処理の仕方

 

どっちの海域がどの国か、で争うのは、

主に大陸棚と排他的経済水域です。

 

この2つは最低でも200海里と広いので、

あの国から200海里、この国から200海里、となると、あの国とこの国で被り易くなります。

 

領海だと12海里と狭いので、

別の国と被るのは殆どありませんが。

 

大陸棚でも排他的経済水域でも、

「まずは合意」だそうです。

 

合意で解決すりゃいいんですが、

解決しないのが多いのも想像に難くないでしょう。

 

合意ができないと、「特別事情がない限り等距離基準」だそうです。

 

まずは中間線ですね。

 

甲国と乙国の間が百海里しかなかったら、

50海里50海里で分け合うんですね。

 

問題は、この「特別事情」とは何ぞや、という事です。

 

「北海大陸棚事件」という判例があります。

 

西独、デンマーク、蘭が、北海という海の大陸棚を争った判例です。

 

蘭とデンマークは等距離を主張しましたが、

それだと西独の取り分が小さすぎると主張しました。

(図のABEDCの部分)

 

なので西独としてはAFCの域が西独の大陸棚、と主張しました。

 

判決では、等距離は国際慣習法ではないとしました。

 

その上で、より衡平な観点から交渉し直せ、と判示しました。

 

最終的に、図の濃い緑色の部分が西独の大陸棚となりました。

 

 

(2枚の図は、いずれもWikipediaから引用しました)

 

もう1つ紹介したい判例が、「リビア•マルタ大陸棚事件」です。

 

アフリカ大陸にリビアという大きな国があって、

地中海を挟んでマルタという小さな島国があります。

 

地学的な大陸棚は、リビア沿岸からマルタ方面へ大きく延びてたそうです。

 

そこでリビアは、大陸棚の自然延長までリビア側だと主張しました。

 

それだとマルタ側の大陸棚が狭くなるので、

マルタ側は等距離を主張しました。

 

判決では、リビア側の自然延長まるまる大陸棚になるという主張は否定されました。

 

一方で、マルタ側の等距離も否定されました。

 

何でかっていうと、もし等距離にしてしまうと、

マルタは国土に似合わず大きな大陸棚を手に入れてしまう、という理屈です。

 

この判例は、東シナ海での日中の争いにも応用できます。

 

中国は大陸棚の自然延長を主張していますが、

リビア•マルタ大陸棚事件の判例が踏襲されるなら、自然延長丸々が認められはしないです。

 

一方、日本側は等距離を主張していますが、

これもなかなか厳しいかと思われます。

 

なぜなら日本と中国では、国土にも人口にも大きな違いがあるからです。

 

リビア•マルタ大陸棚事件では、リビアとマルタの等距離から少しマルタ側が狭くなる様に線がひかれました。

 

もし、東シナ海の問題が裁判所に持込まれれば、

恐らく日本が主張している等距離は認められず、中国側に少し広く大陸棚が認められそうです。

 

もっとも、中国が主張する自然延長が丸々認められる事もないでしょうが。

 

 

纏め

 

如何でしたか?

 

海の境界確定は、

基本は等距離線。

 

+αで、それだと不利な国や、国同士の国土の広さ等を加味して決める形になります。

 

最初は形式的に、後から実質を加味するんですね。

 

よくできているといえば、よくできているんじゃないでしょうか!?

 

YouTubeでは動画を公開しています!!!

 

いつもながら、文章が滅茶滅茶にならない様に、端折って説明しています。

 

「詳しく解説してほしい」といった要望、

その他質問やコメント等は、以下動画からお願いします!!!

 

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