公海と法的深海底の国際法

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皆さんはおっちょこちょいですか?

 

私はおっちょこちょいです。

 

突然何を書き出すかというと、前々回、

「海の国際法である海洋法を海域別に解説 元公務員受験生が語る」

を書きましたが、

書き忘れた海域が3つあります。

 

今回は、先の記事の補正でございます。

 

 

接続水域

 

陸地から24海里までの海域です。

 

陸地から12海里までが領海ですので、

24海里-領海が純粋な接続水域です。

 

‘純粋’ といっても、200海里経済水域を設定してる場合は、その中ですがね。

 

この海域で何ができるのかというと、

通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の規制をかけられます。

 

やばそうなのが入ってこない様にする為の海域です。

 

 

公海

 

どこの国の海でもない海域です。

 

なので楽に終れる…と思いきや、

公海はかなり論点多彩です。

 

 

公海自由の原則

 

公海はどこの国の海でもない海域であると同時に、

どこの国にも開かれた海域であります。

 

「公海自由の原則」といって、公海上では色んな自由が認められます。

 

具体的にどんな自由があるかというと、

航行、上空飛行、海底ケーブル敷設、人工島建設、漁獲、科学調査

です。

 

航行や漁獲はともかく、人工島建設の自由まであるんですね。

 

ここまで自由があるとやりたい放題かと思われますが、

実際にはそんな好き放題できません。

 

他国の利益への妥当な配慮義務があるからです。

 

他の国の取り分がない位、魚を獲りすぎてもだめですし、

人工島とかいって、人工の大陸を造ってもだめですからね。

 

特に漁業資源については、獲り尽くしてしまったら終りなので、

資源保護の為に、色んな条約による取決め等、様々な国際協力がなされています。

 

海は皆のもの、

お互い譲り合って使いましょう。という事です。

 

 

公海上の船

 

公海には航行の自由がありますから、

世界各国の船が行き交います。

 

そこで、どこの国の海でもない海の上の船は、どこの国の法律が適用されるのでしょうか?

 

船にも国籍があって、その登録してる国の法律が適用されます。

 

これを「旗国主義の原則」といいます。

 

 

公海上での犯罪

 

公海は誰の海でもない。

 

そうすると、無法地帯と勝手な解釈する輩も出るでしょう。

 

公海が犯罪し放題海域になるのを防ぐ為、各国の軍艦や政府船舶に「公海海上警察権」が認められています。

 

具体的に何するのかというと、

まずは「近接権」

 

船は国旗を掲げなければなりませんが、

掲げてる国旗が、その船の本当の国籍と一致するか、関係書類を調べます。

 

陸上でいう、「ちょっと免許証拝見」みたいなもんです。

 

次に「臨検」

 

これは早々できるものではありませんが、

怪しい船に乗込んで中を調べます。

 

陸上でいう、家宅捜査みたいなもんですね。

 

じゃあ、どんな犯罪に対して公海海上警察権が使えるのかというと、

大きく国際慣習法上の犯罪と、条約上の犯罪に分けられます。

 

国際慣習法上の犯罪は全ての国に逮捕•裁判の権利が認められます。

 

権利だから、しなくてもいいんですがね。

 

条約上の犯罪は、その条約に加盟してれば、ですが、

逮捕•裁判等の権利があります。

 

 

国際慣習法上の犯罪

 

この記事では2つ紹介しましょう。

 

  • 海賊
  • 偽装国籍、国旗掲示拒否

 

まず海賊ですが、

海賊が実在するのは意外と有名でしょう。

 

ですが、’海賊’ といえる為には要件があって、

これらの要件を全て満たさないと海賊とはいえないんです。

 

それが

1.公海上の他の船舶や飛行機に対して

2.私的目的

で行われる犯罪です。

 

1について、海賊といえる為には、ある船から別の船に乗移らないといけないのです。

 

同じ船の中での犯罪は海賊ではありません。

 

2について、’私的目的’ とは、大体は泥棒です。

 

なので、大方、海賊とは

他の船に乗込んで泥棒する事

です。

 

けっこう限られた犯罪しか海賊とはならないんですね。

 

海賊ですが、古来、「人類共通の敵」として、

全ての国に逮捕•裁判権が認められています。

 

‘人類共通の敵’ とはまた凄い表現ですね。

 

次に偽装国籍•国旗掲示拒否ですが、

国旗を偽装された国、又はその船の本当の国籍国が臨検できます。

 

旗を偽装するのは、大方、何か悪い事してるのをごまかす為でしょうね。

 

 

条約上の犯罪

 

条約上の犯罪として、うぷ主は、

  • 奴隷取引
  • 無許可放送
  • 無国籍船舶
  • 船舶不法奪取
  • 麻薬

を習いました。

 

奴隷取引

 

今となってはないでしょうが、

一応、臨検できます。

 

国際慣習法上の犯罪の章で書いた、「偽装国籍•国旗掲示拒否」ですが、

多くが奴隷取引をごまかす為の偽装だったそうです。

 

無許可放送

 

所謂、電波ジャックという奴です。

 

電波ジャックの対象国の他、その電波によって影響を受ける国にも逮捕•裁判権が認められます。

 

無国籍船舶

 

偽装と一緒で、大体こういう船は悪い事を企んでるものです。

 

無国籍船舶には臨検できます。

 

船舶不法奪取

 

シージャックです。

 

海賊が他の船から乗込んでくるのに対し、

船舶不法奪取は同じ船の中で行われる犯罪です。

 

船や犯人、被害者の国籍国に裁判権が認められます。

 

船の国籍国は更に、公海上での臨検も認められます。

 

麻薬

 

私には意外だったんですが、

麻薬ってだけでは、すぐには取締れないそうです。

 

勿論、逃さなければいけない、とかではなく、

旗国の許可があれば臨検や拿捕できます。

 

但し、許可を与えるかどうかは旗国次第なんです。

 

許可が出なかったらもどかしいですね。

 

現実はどうかというと、

旗国は大体シラを切るそうです。

 

「あの船はうちの船じゃない」って。

 

シラ切られたら、「はい、はい、じゃあ無国籍ね!」

ってので、無国籍船舶として、とっ捕まえるんだそうです。

 

 

深海底

 

大陸棚を超えた海底と定義されます。

 

国際法的に深海底を定義する理由ですが、

放置すると大陸棚みたいに、経済的主権を主張しつ開発されるのを、特に発展途上国が恐れたからです。

 

そして「人類の共同遺産」とされました。

 

「人類の共同遺産」とは、なかなか美しい名詞ですね。

 

深海底では国家主権の主張は禁止されます。

 

とはいえ、全く開発ができないのでありません。

 

国際海底機構(ISA)という組織があります。

 

そして国際海底機構の下部組織に、「エンタープライズ」という組織があります。

 

このエンタープライズが、深海底の開発をします。

 

只、エンタープライズには、実質的に深海底の開発能力はないそうです。

 

なので国際海底機構と契約した国や企業も深海底の開発ができます。

 

エンタープライズと、各国やその企業が協力しつ開発するのを「パラレル方式」といいます。

 

 

纏め

 

如何でしたか?

 

今回は前々回書き残した海域である、

接続水域、公海、深海底について書きました。

 

纏めると、

 

接続水域は、陸から24海里の内、領海を除いた海域で、領海に入るとヤバそうな船を規制できる海域

 

公海はどこの国の海でもない海域で、基本は各国が自由にできるが、他の国に迷惑をかけない様に妥当な配慮義務を負う。

 

公海は決して無法地帯ではなく、公海海上警察権という権利があって、犯罪の種類に応じて全ての国または特定の国に逮捕したり裁判したりする権利がある。

 

深海底は国家主権が及ばない「人類の共同遺産」であるが、国際海底機構と、国際海底機構と契約した国や企業が共同で開発できる

 

です。

 

けっこう大容量になったので、

結果としては分けて書いて正解だったかもしれませんね(苦笑)

 

YouTubeでは動画を公開しています!!!

 

今回も、話をややこしくしない為に端折って説明しています。

 

「詳しく解説してほしい」といった要望、その他質問やコメント等は、以下動画のコメント欄からお願いします!!!

 

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