国際公域と国際化地域 川・空・宇宙・南極の国際法

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国際公域と国際化地域

 

日本にいるとなかなか印象が持てないのですが、

世界には、例えば、ある国の川なのに外国船がバンバン航行してたり、

そもそもどこの国の領域かはっきりしない地域というのがあります。

 

こういう地域を「国際公域」や「国際化地域」とよびますが、

今回はそういった領域主権が曖昧な地域を学習しましょう。

 

 

国際公域と国際化地域

 

先程、国際公域と国際化地域は同じかの如き書き方をしました。

 

が、これらは別物です。

 

国際公域とは、どの国も領域主権を設定できない地域で、

公海や深海底なんかがそうです。

 

公海や深海底は前回記事で書いたので、

今回のメインは国際化地域になります。

 

国際化地域とは、色んな外国の利益の為に主権が制限されたり排除されたりする地域です。

 

 

国際河川

 

複数の国を流れる川です。

 

国際化地域の1つです。

 

複数の国を流れる以上、ある程度は航行の自由がないと、川の中にある国に出入りできなかったりしますよね。

 

なので国際河川には航行の自由があります。

 

但し、公海自由の原則の様に、

国際慣習法を形成するには至ってないそうです。

 

具体的にどれだけの航行の自由を与えるかは、その川に面した国が決めるとされています。

 

船の航行はそれ程問題ではないのですが、

それ以外の問題がややこしいのです。

 

例えば、上流国がダムを造ったりした場合。

 

下流に水が流れないとなると、下流国が怒ります。

 

「国際河川の非航行利用に関する条約」という条約があって、

「合理的かつ衡平な水利権」を他国に与え、「実質的な損害を回避」する義務がありますし、

「領域使用の管理責任原則」も最終的には使って、調整していきます。

 

 

 

陸、海とくれば次は空。

 

「公海自由と同じく、空も自由です!」って考え方もあるんですが、

領土と領海の上空は領空といって、主権が及びます。

 

問題はどの高さまで主権が及ぶか。

 

「どの高さまでも及ぶ!」という説もありますが、

地球が自転してるのも考慮すれば非現実的です。

 

じゃあどの高さまで主権が及ぶのかというと、

大気が存在してる高さ、飛行機が飛べる高さ、等々ありますが、確立した説はないそうです。

 

空の高さについては、国際法は曖昧なまま運用されてるんですね。

 

 

防空識別圏

 

領空の外側の一定範囲に設定される空域です。

 

領空侵犯防止の為、防空識別圏に勝手に入ってきた飛行機には緊急発進がかけられます。

 

又、旅客機とかは事前に飛行計画を提出しなければなりません。

 

防空識別圏ですが、国際法上の根拠はないんです。

 

各国が勝手にやっているだけです。

 

抗議する国が少ないので、黙認されています。

 

自国が防空識別圏を設定してたら、よその国が防空識別圏を設定しても文句言えたタチじゃないですからね。

 

 

国際的な飛行

 

領空主権がある以上、勝手に外国の空は飛べません。

 

じゃあ国際線の旅客機とかはどうしてるのか?

 

それはお互いの国で条約を結んで、飛んでいます。

 

当り前といえば当り前ですが、

国際的に共通の取決めを作ろうとした試みもありました。

 

うまくいかなかったのですが、それはなぜかというと、

やっぱり自国の上空を外国の飛行機が飛ぶ事への警戒です。

 

包括的に決められるのではなく、

2国間でじっくり話し合って決めたいのでしょう。

 

 

飛行機の国際法

 

飛行機については、船の国際法と殆ど一緒です。

 

船と同じく、国籍がありますし、

公海上空等の、どこの国の空でもない空域を飛んでると、旗国主義の様に国籍国の法に服します。

 

飛行機も乗り物ですから、事故はあります。

 

墜落は最悪ですが、

墜落までせずとも、部品が落っこった等はあるでしょう。

 

事故を起こすと責任をとらなければなりません。

 

責任をとるのは飛行機の国籍国です。

 

たとえその飛行機の国が悪くなかったとしても、

例えば別の飛行機にぶつけられてしまっただけだとしても、飛行機の国籍国は責任をとらなければなりません。

 

落ち度がなくても責任をとらされるのは、なかなか重いですね。

 

 

宇宙

 

宇宙も又、国際公域の1つです。

 

公海とかと同じく、全ての国が領域設定を禁止されます。

 

宇宙空間は勿論、月とか他の惑星の天然資源の所有権の設定も禁止です。

 

一応そうなってはいるんですが、

米国のある民間企業が、月の土地の権利証書とか売ってます。

 

売ってる方もネタで売ってますし、

買ってる方もネタで買っています。

 

法的には何の意味もないですからね。

 

値段は日本円で3000円ぐらい。

 

もしかしたら将来プレミアつくかもしれないですよ!!

 

因みに、私もネタで買いました(笑)

 

宇宙空間の利用の方は、現状は無制限です。

 

宇宙開発できる国が限られる為、制限を設けずとも対立は生じないんです。

 

制限らしい制限としては、

  • 地球周回軌道に大量破壊兵器を置けない
  • 他の星の軍事利用は前面禁止

位でしょうか。

 

 

宇宙物体

 

人工衛星とか、宇宙ステーションとかですね。

 

これらは、当然、地球から打上げられます。

 

そこで出てくるのが「打上げ国」という概念。

 

打上げた国は勿論、打上げを依頼した国、打上げ施設を提供した国も「打上げ国」となります。

 

宇宙物体で事故があったら、全て国家の責任になります。

 

ホリエモンみたいに、民間でロケットを打上げたとしても、

そのロケットが他国に損害を与えたら、その国に責任を取るのはホリエモンじゃなくて日本政府です。

 

その後、日本政府がホリエモンにどう出るかは日本政府次第。

 

打上げ国が1国だったらその国が全ての責任を負いますが、

複数国ではどうでしょうか?

 

打上げ国同士の中で責任割合をどうするのかは打上げ国の自由ですが、

被害国に対しては連帯責任です。

 

連帯責任の意味ですが、

例えば甲、乙、丙が打上げ国で、打上げが失敗してA国に被害をもたらしたとしましょう。

 

A国は、甲乙丙の内部での責任割合を気にするべきでしょうか?

 

答えは「気にしなくていい」です。

 

内部取決で甲乙丙の責任割合が1:2:7だったとしても、

A国は甲に全額を請求してもいいし、乙に全額を請求してもいいのです。

 

内部取決の責任割合は、甲や乙が立替えた後の精算についてです。

 

打上げた物体は、次に「登録」しなければなりません。

 

登録しないと、国家の管轄を及ぼせません。

 

登録は1カ国だけです。

 

複数国が打上げに関わってたとしても1カ国だけです。

 

どっからどこまでをどの国の管轄にするかは、

登録とは別に内部で決めるのです。

 

ややこしいですね。

 

打上げ国とか登録国とか、もっと簡素にならないかなあと思うんですが…

 

 

南極

 

氷に閉ざされた厳しい気候の南極ですが、

地下には天然資源が豊かな事が分ってきました。

 

実益があるとなると南極を欲しくなるもの。

 

南極に近い国が、国境の延長して南極の領有権を主張したりもしましたが、

現在では南極条約によって領有権の主張が「凍結」されています。

 

試験では「凍結」という名詞で出ますので、それ以外の言葉が使われていたら間違いです。

 

凍結されてるのはあくまで領有権なので、

科学調査や探検等はできます。

 

軍事利用は厳しく制限されていますがね。

 

天然資源の開発も放置されたままです。

 

このまま氷づけなのが1番平和な気もしますが…

 

 

纏め

 

今回は国際公域•国際化地域について書きました。

 

ざっくりいうと、複数国が利用するエリアについてです。

 

国際河川、空、宇宙、南極

等がそれらに当てはまります。

 

国際法はそれぞれ別個に規定をおいています。

 

お互い、自分達の利権には必死ですから、

それを調整する国際法もなかなかややこしくなっております。

 

いつもながら、今回も話をややこしくしない為に、端折って説明しています。

 

YouTubeでは動画を公開しています。

 

「詳しく解説してほしい」といった要望、その他質問やコメントは、以下動画のコメントから願います!!!

 

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