人権

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日本国憲法における新しい人権

新しい人権とは、憲法13条の幸福追求権から導きだされる種々の権利です。 新しい人権として、判例で認められたのは、プライバシー権、名誉権、肖像権の3つです。 環境権、自己決定権、お酒を作る自由、静穏権、猥褻に関するもの等は、判例では新しい人権とは認められませんでした。 プライバシー権の判例には、「宴のあと」事件、「前科照会事件」、「ノンフィクション「逆転」」事件、「江沢民講演会事件」があります。 肖像権の判例には「京都府学連事件」があります。 名誉権の判例には「北方ジャーナル事件」があります。
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憲法の私人間効力

憲法の私人間効力は、間接適用説が通説です。これは、私法の一般条項を通じて間接的に適用するものです。 日産自動車女子若年定年制事件において、最高裁は就業規則が性別での差別に当るとして、民法90条に違反するとしました。 三菱樹脂事件において、企業が特定の思想を持つ学生の採用を拒む事は違法ではないと判示しました。 国家同視説は、民間主体であっても国家と同等の力を持つ私人には、憲法を直接適用しようという考え方です。 昭和女子大事件において、大学に反して政治活動をした学生の退学処分は違法ではないと判示しました。 百里基地訴訟において、最高裁は憲法9条を直接適用せず、民法90条違反でもないとしました。 憲法が例外的に直接適用される場面として、投票の秘密、奴隷的拘束、児童の酷使、労働基本権があります。
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人権の制約原理

人権の内在的制約とは、人権が、他人の人権を侵害しない限度で保障される、という制約です。 自由国家的公共の福祉、又は消極目的規制とは、害悪発生防止が目的です。 社会国家的公共の福祉、又は積極目的規制とは、積極的価値の創造が目的で、往々にして弱者保護が伴います。 比較考量論は、人権の制限によって失われる利益と得られる利益を比較します。然し、基準が不明確で、少数派の利益が害されます。 2重の基準論は、精神的自由の制約には裁判所が積極的に審査しますが、経済的自由の制約は政治部門の判断を尊重します。これが妥当する理由として、まず2当事者対立構造か政策判断かという裁判所の能力論、民主制の過程で回復可能かという民主制の過程論、の根拠があります。
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人権享有主体性

未成年者の人権制約はパターナリズムであり、回復できない損害の回避、手段が必要最小限度、であれば制限可能です。 イェリネックの3分類とは、1.国家からの自由、2.国家による自由、3.国家への自由です。 外国人の人権は、1.人権の前国家的性質、2.国際協調主義の観点から、権利の性質上日本国民を対象としていると解される権利を除き、等しく及びます。 東京都管理職選考事件で、国籍条項は合憲と判示されました。 マクリーン事件で、在留の権利は憲法上の保障はないと判示されました。又、政治活動の自由は保障されますが、在留期間更新の際に消極的事実として斟酌される可能性がある、と判示されました。 指紋押捺拒否事件は、みだりにではないから合憲と判示されました。 法人は、社会で重要な地位で活動する実態があるので、生存権•選挙権•身体の自由以外の人権は保障されます。 八幡製鉄政治献金事件で、企業には政治活動の自由があると判示されました。 南九州税理士会事件で、強制加入団体の政治活動は、構成員の人権を侵害する恐れがある、と判示されました。 群馬県司法書士会事件で、強制加入団体であったとしても、特別徴収は個々の思想を侵害するものではなく、負担額も過大なものではない、と判示されました。 特別権力関係は、特別の公法上の原因により成立する、公権力と国民との特別な法律関係の概念ですが、現在では各法律関係毎に考えるのが一般的です。
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憲法と法律の違い

憲法は、法律とは別の法規範で、法律よりも上位の法規範です。詰り、法律は、憲法の範囲内でしか制定できないのです。 憲法では、間接民主制が基本になっています。但し、憲法改正の国民投票、最高裁判所の国民審査、1つの地方自治体にのみ適用される法律への住民投票、は直接民主制です。 憲法の構造として、大きく「人権」と「統治」にわけられます。 憲法が民主主義に示す態度には、保障、禁止、許容があり、許容の範囲で議会制民主主義が法律を制定する裁量があります。逆に、保障と禁止は議会制民主主義の介入を許しません。
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