前回からうぷ主が学んだ公務員試験の文学・芸術についてみていっています。
前回は古代~近世までを見ました。
今回は近代以降を見ます。
近代
(新)古典主義
ロココの次はいよいよ近代です。
うp主が公務員試験を勉強していた頃、
文学芸術に於ては近代以降は建築は余り出題されなくなります。
勿論現代に至るまで建築は発展し続けてるでしょうが、
余り習ってないのは、芸術における建築の重要度は近代以前と比べると低下したという事でしょうね。
バロック•ロココの次に出てきたのは古典主義、或は新古典主義といわれる流派です。
古典というだけあって、昔を見習おうとする流派です。
具体的にはギリシャ、ローマですね。
バロック芸術が自由奔放な傾向があったのに対し、
新古典主義はバロックへの反発から、形式主義的な芸術になります。
折角ギリシャローマから脱却したのにまた回帰かとも思いますが…
- アングル
- ダビッド
辺りがこの時期の代表的な画家となります。
ロマン主義
新古典主義は形式的で、ある種の堅苦しさがある芸術ですが、
これに対して出てきたのがロマン主義です。
「芸術は人間の感情をゆさぶらなければならない」ぱるし
との考えから、また自由を重んじる様になります。
形式的になったり自由になったり忙しいですな。
- ジェリコ
- ドラクロワ
辺りが有名な画家でしょうか。
ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」は余りにも有名ですね。
色んな所で2次創作されてますし。
現実主義•写実主義
ロマン主義の次に出てきたのが現実主義、写実主義です。
何となく想像つくかもしれませんが、
現実主義や写実主義もロマン主義への反動から発生しています。
「夢物語を描かないで、より現実を直視しようぜ」っていう魂胆ですね。
クールベやミレーが有名な画家です。
特にミレーの落穂拾いは、1回はどっかで見たんじゃないでしょうか。
印象派
現実主義•写実主義の次に出てきたのが印象派です。
印象派が出てきた背景として、うぷ主は
「この時期写真が発明された。只々現実を正確に描写するだけなら絵画よりも写真の方が正確。故に絵画はいらないのではないかという発想になった。
そこで芸術家達は、寧ろ絵だからできる表現法、写真ではできない表現法を追求する様になった。そこで出てきたのが印象派」
と教えられました。
勿論、時代背景としては写真機の登場も間違いではないでしょうが、
只、今になってググってみると、印象派が興ったのは19世紀後半の仏国フランスといわれていますが、当時の仏国フランスの ‘正統な芸術’ に対する反発が興りだった様です。
仏フランスの国王に繋がる「王立絵画彫刻アカデミー」という教育機関がありましたが、
そこが主催する「サロン•ド•パリ」という展覧会への反発だったそうです。
国家権力の息がかかってて、何分なにぶん保守的だったのが気に入らなかったとか。
今でこそ大人気の印象派ですが、
出た当初の評判は頗る悪かったんだそう。
まあ今の日本でも新しくて画期的なものは旧態依然の翁や嫗から嫌われますが、似た事象は19世紀の仏国フランスにもあったんです。
印象派として名高い画家は、
マネ、モネ、ルノワール
等でしょう。
印象派が最も画期的だったのは、単なる景色の写実ではなく、
そこに画家個人のイメージが反映されている点。
別の言い方をすれば、「俺はこういう風に見えた」という、画家の主観や感想が絵に表現されています。
…とは言われても、うぷ主、絵を見る目がないので、どう見たらその絵から画家の感想が見てとれるのか分かんないんですけどね。
明らかに見て分かる特徴としては、全体的にぼやけた絵が多いですね。
新印象派
新印象主義ともいいます。
代表的な画家はスーラです。
新印象派の特徴は、何といっても「点描画」の技法を確立した点。
点描画というのは、無数の点の集まりが1つの絵を構成している絵です。
遠くから見ると1つの絵なんだけど、近くで見たら点々の集まり。
今普及してるテレビやpcや携帯のディスプレイも、画素という1つ1つの点の集まりで液晶にものを映しだしています。
原理的には点描画と非常に似通っていますね。
点描画の技法が後世の映像機器にどんな影響を与えたのかを示す資料は残念ながら発見できませんでした。
只、あくまで個人の主観ですが、何らかしらの影響は与えているんじゃないかと。
後期印象派
印象派、新印象派の次に出てきたのが後期印象派です。
後期印象派というのは、post-impressionism
を明治時代の日本人が訳した単語になります。
postをどう訳すかにもよりますが、後期印象派というと、まるで後の方で出てきた印象派の一部と理解する方もいるかもしれません。
ですがこの場合、postは後期と訳すより、~の後と理解すべきでしょう。
ほら、
よく総理大臣とかで、「次期総理大臣は誰々」って噂になると、「ポスト小泉」、「ポスト安倍」っていわれますけど、それはつまり小泉さんや安倍さんが辞めた後の誰かであって、小泉さんや安倍さん自身ではないでしょ。
結局なんやねんというと、後期印象派は、印象派とは別と解した方がいいと。
調べた限りではそうでした。
後期印象派の代表的な画家は
ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャン
画風についての特徴は掴めなかったし、授業でも大した解説がなかったので、そこについては把握しなくてもいいんじゃないでしょうか。
20世紀
野獣派
後期印象派を過ぎると、もう時代は20世紀に入ります。
まず紹介するのは野獣派。
フォービズムという呼び方の方が一般的ですが、うぷ主は横文字が余りお好きではないので(笑)今回はあえて野獣派で通させて頂きます。
マチスが代表的な画家です。
絵の特徴としては、原色もしくはそれに近い奇抜な色をよく使います。
表現主義
表現主義も20世紀初頭に登場しました。
興りは独国みたいですね。
有名な画家はカンディンスキーやムンク。
特にムンクは「叫び」が有名ですね。
特徴としては画家の内面が描かれる点。
画家の主観を描く点では印象派と似ている様にも思いますが、
印象派は外の景色を「俺はこう見えた」と表現するのに対し、
表現主義は素材が画家の内面である点で正反対です。
英語でも
印象派はimpressionism、外から印象を与えられた主義であるのに対し、
表現主義はexpressionism、我がの内面を放出する主義となっております。
因みにムンクの「叫び」ですが、絵の中の人物が叫んでる風にも見えますが、
実際は周りの音に恐怖しているんだそう。
よくある誤解なのでご注意を!
立体派
こちらも20世紀初頭の芸術運動です。
キュビズムという呼び方の方が一般的ですが、例によって横文字は敬遠致します。
代表する画家は何といってもピカソ。
立体派は、対象を多角的に捉え、それを2次元に落としこんだ所に特徴があります。
ピカソは、岡本太郎が尊敬した画家で、岡本師匠は「芸術は爆発だ」なんて仰ってますが、
実はピカソは非常に理知的な画家で、色々計算した上で絵を描いてるんだとか。
…っていわれても、ピカソの作品をみてもどこがどう理知的なのかうぷ主には全くわかりませんが…
1つの物体を多面的に…
ていうのは、要するに正面背面右面左面上面下面を全て1つの絵に落としこむんでしょう!?
素人からすりゃ「そりゃ意味わからん絵になるでしょ」となりますが、
玄人的にはそうじゃないんでしょうね。
ピカソは歴史上の人物、という印象をお持ちの人もいるかもしれませんが、
亡くなったのは1973年です。
歴史上の人物扱いされてる割にはつい50年程前までご存命だったんですね。
芸術史からすればどうでもいいですが、うぷ主にはそれが1番意外でした(笑)
未来派
これら20世紀初頭の芸術派閥の次に出てきたのが、未来派です。
伊国イタリアのマリネッティという詩人が仏国フランスの新聞に「未来派宣言」なる投稿をしたのに端を発しています。
未来派は機械や近代科学を礼賛し、中でも速度を非常に重要視しました。
何年か前に「工場萌え」がはやりましたが、百年位前にも似た趣味の奴はいたんですね。
今でもそうですけど、
速さというのは近代科学がどれだけ発展してるかを示す、1つ大きな象徴ですからね。
未来派は戦も賛美します。
特に近代以降、戦争はハイテク兵器を駆使し、
それは未来派的には ‘最も科学的な行事’ だからです。
言い出しっぺのマリネッティは伊国イタリア人でしたので、1930年代以降の伊国の全体主義運動に関わっていきます。
ダダイズム
第1次大戦の頃に始まったとされるダダイズム。
「ダダ」には特に意味はないんだそう。
戦で天下が目茶苦茶になってるのもあるかもしれませんが、
秩序や常識を否定する芸術運動です。
髭が生えたモナリザの絵とかが有名ですかね。
超現実主義
シュルレアリスムという呼び方の方が一般的ですね。
詩人のアンドレ•ブルトンという人が発表した「シュルレアリスム宣言」に端を発した芸術運動です。
ブルトン師匠も元々はダダイズムの人だったそうですが。
そもそも超現実主義とは何なのか?
シュルレアリスム宣言によれば、「口頭、記述その他あらゆる方法により思考の真の動きを表現しようとする純粋な心的オートマティスム。理性による監視を全て排除し、美的•道徳的な全ての先入観から離れた、思考の書取りかきとり」
予備校の講師によれば「フロイトの精神分析とマルクスの革命思想を基盤とした表現」だそう。
いってる内容がさっぱり分かりませんが、
ざっくりいうなら「無意識を表現しようとした」芸術運動です。
絵画に限るならサルバドール•ダリが有名です。
「柔らかい時計」という、余りの力にひん曲った時計の絵が有名です。
この人、無意識に時計を壊してしまう ‘無敵の人’ を無意識に秘めた人だったんでしょうか?
大戦の終りと同時期に、収束してったそうです。
前衛芸術
1次大戦以降に興った芸術です。
野獣派•立体派•未来派
を前衛芸術に含めるのかというと、
戦前は含めないのが主流でしたが、戦後は含めたりもするんだとか…
前衛芸術の範囲は時代によって変わったりもするんですね。
では前衛芸術とはどんな芸術かというと、実は一概には定義できなかったりします。
ていうもの特徴が芸術家毎にまちまちなんですよね。
つう事なので、うぷ主が習った芸術家とその特徴を個別に述べていこうかと。
ジャクソン•ポロックという人は、ドリッピングという手法で絵を描きました。
ペンキをハケで撒き散らす様な描き方です。
一応、滴りなんかも計算されてるそうですが、正直、素人には分からないと思います。
アンディ•ウォーフォールという人はマリリン•モンローの色違いを大量に作品にしました。
所謂ポップアートって奴ですね。
ジャスパー•ジョーンズという人は、星条旗そのものを「絵です」といったり。
こんな最近でかつ「前衛芸術とはこうです」とは定義し難い芸術、公務員試験に出すなと思うのですが、
意外にもこういう所からの出題もあるんですね。
まあ「幅広く勉強しとけ」という、役所のご意志なんでしょう。
終わりに
如何でしたか!?
大分端折って紹介しましたが、
それでも結構な量になってしまいました。
それでもここまで勉強しない受験生が大半だと思います。
多くの受験生が「中高の美術で何とかなるか」と思ってるでしょうし、
実際、芸術なんて知らなくても合格できるにはできます。
かくいううぷ主も、受験生の時分には芸術なんて勉強しませんでしたから(笑)
只、受験というのを離れてみると、
活きる視点や応用の効く点は多少なりともありますので、
知ってて損はないんじゃないでしょうか!?
面白い知見もたまに散見されますし、
今回の内容が皆様のお役に少しでも役立ったならこれ幸いです。
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