外国人と国際法 出入国・外国人待遇・難民・土地収用と国有化
もし、日本に日本人しか住んでないとなると、法は日本のものしか問題になりません。
ですが、日本にも沢山の外国人が住んでいます。
その方々を全て日本法に服せれば単純なのですが、
外国が絡む以上、国際法の出番はあります。
今回の記事では、外国人と国際法について書いていきたいです。
外国人の出入国
外国人の入国ですが、入国させる義務まではありません。
「入れてあげてる」って感じですね。
どういう基準で入国させるかは、各国の国内法によります。
あくまで ‘入れてあげてる’ だけですから。
一方、出国はというと、外国人の自由であり、
犯罪して取調べの必要がある、とかでない限り、出国を禁止できません。
「出ていくのはご自由に!」って感じですかね。
入り難く、出やすい構造ですね。
外国人の国内法上の地位
外国人は入国した国の法律にどこまで従い、どんな権利があるんでしょうか?
一般的には、在留国の法律に服す義務を負います。
但し、その国の国民であるのが前提になっている、
徴兵とか義務教育とかは対象外です。
権利系の待遇は、義務系に比べると複雑です。
先進国並の待遇すべきだという「国際標準主義」と、
自分達の国と同じ扱いでいいという「国内標準主義」との対立があります。
先進国は、往々にして自由とか民主主義とか、国民1人当りの権利も大きいです。
対して途上国では、政治や経済の発展度合的に、国民にそこまで権利がなかったりします。
特に途上国では、先進国並の待遇すると、外国人に特権を与える結果になります。
そこまでしなきゃいけないのかという問題です。
結論としては、世界的に守らなきゃいけない人権、
例えばイカサマ的な逮捕や裁判はできません。
最小限度の国際標準は途上国も守らなきゃいけません。
人として最低限の扱いしなきゃいけないのは当然ですね。
難民
国内に来る外国人は、旅行や商売だけではありません。
可哀想ですが、自国にいられず、逃げてくる人もいます。
世間では「難民」として知られる人達です。
災害や戦争で祖国を追われた者の他、
経済難民といって、祖国での生活が貧しすぎて逃げてきた人達も含みます。
「難民」という概念は、冷戦初期に出てきた概念で、
元々は ‘東側’ といわれる社会主義国から逃げてきた人を想定していました。
現在の難民というと、アジア•アフリカの紛争地域から逃げてきた人々をイメージしますから、意外ですね。
時代によって難民の想定が変化したんです。
難民問題を解決する機関として、「国連難民高等弁務官事務所」(UNHCR)という機関があります。
国連難民高等弁務官事務所ですが、各国に対して何するのかというと、
「難民を助けろ」と強制はできません。
あくまで「協力してね🤍」と要請できるに留まります。
しかも難民認定ですが、国連難民高等弁務官事務所も難民を定義していますが、
難民認定そのものは各国の裁量です。
国連難民高等弁務官事務所の定義する難民、「マンデート難民」といいますが、それと各国が認定した難民とで食違いがよく起きるそうです。
日本もよく揉めるそうです…
一旦、難民と認定すると、その国にとってはけっこう重いです。
どう重いかというと、
まず、不法入国•滞在としての処罰が禁止されます。
国外への追放もダメ。
特に難民の命や自由の危険が及ぶ国への送還はダメです。
これを「ノン•ルフールマン原則」といいます。
余程の重大犯罪したとかであれば話は別ですが、
逆に余程の事がない限りは認定国はその難民を国内できっちり守ってあげなければなりません。
加えて、身分証を発行したり、相応の待遇したりしなければなりません。
日本が難民と認めると、生活保護と同等の待遇が得られるそうです。
日本の難民認定は厳しいのですが、
外国人に敷居が高い国民性だけでなく、金が掛るというのもあると思われます。
外国人資産の収用
個人の財産を国が巻上げる事があります。
日本でも、道路を造ったりする時に、建設予定地の住宅を立退かせたりしますよね。
日本ではありませんが、より大規模になってくると、
国有化というのもあります。
旧共産圏でよくあった話ですが、
鉄道とか、民間でやってたのを国のものとする事です。
収用は、好き放題にできる訳ではありません。
収用3要件という要件を満たさなければなりません。
その3要件とは、
1.公益の原則
2.無差別の原則
3.補償の原則
です。
「公共の原則」とは、目的が公共の為でなければならないという原則です。
「無差別の原則」とは、特定の対象に対し、差別的•報復的な収用はダメという原則です。
「補償の原則」とは、財産を巻上げるんだから、
相応の金を払え、という原則です。
補償の原則が1番揉めます。
補償の原則について、「ハル3原則」という原則があります。
ハル3原則とは、
1.十分な
2.実行的な
3.迅速な
補償しろ、という原則です。
言換えると、
1.収用時の時価と利息を払え
2.国際通用力のある金で払え
3.延滞するな(即金で払う、等)
です。
そもそも収用や国有化が問題になる位に外国に財産がある理由ですが、
多くは植民地時代に欧米列強が資源開発してた関係です。
独立後も欧米企業が現地に資源開発の設備を持って、採掘した資源を途上国に十分に回さなかったのです。
途上国としては搾取されてる感になります。
そこで「天然資源の永久主権」を主張し、
資源や設備をどんどん国有化していきました。
「途上国の資源だから途上国が主権を主張するのが当り前だろう」と思うかもしれませんが、
そう単純じゃないんですね。
余り国有化しすぎると、
先進国がビビって投資しなくなるんです。
自分で開発できるなら問題ありませんが、
途上国の多くは先進国の投資がないと資源開発できません。
そこで、投資保護協定を先進国と途上国で結び、収用3要件•補償3要件を明文化する等して、途上国が先進国へ歩寄る様になります。
生命や自由の危害が及ぶ国への送還を禁止する
途上国でも、資源開発に成功して豊かになった国と、そうでない国に明暗がわかれ、
ある程度は妥協せざるを得なかったのです。
難しいですよね、こういうの。
どこまでを主張して、どっから折れるのか、
手探りで探っていくしかないのでしょう。
纏め
如何でしたか?
今回は外国人と国際法について、
1.出入国
2.難民
3.財産の収用
の3本柱で書きました。
個人的には、財産の収用で、権利を主張しすぎると投資をビビられる、という話が印象的でした。
なかなか理想にはいかないものですね。
悲しい…
今回も、話をややこしくしない為に端折って書いています。
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