文民統制の問題点

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文民統制とは

 

まずはそこからですよね。

 

文民統制、片かなでシビリアンコントロールともいいますが、とは、

文民政治家が軍の統帥権(=最高指揮権)を持つ。です。

 

文民とは、軍人じゃない人で、

日本では現職の自衛官じゃない人をいいます。

 

現職でなければいいので、昔は自衛官だったとしても、退官してれば文民です。

 

要は、軍人じゃない人が軍のお頭になるのです。

 

 

意義

 

なぜ文民統制なのでしょうか?

 

なぜお頭を生抜の軍人にせず、わざわざ文民政治家にするのでしょうか?

 

幾つか理由や説があります。

 

 

‘軍人は戦をしたがる’説

 

公民や憲法の授業で教わるぐらい、よくいわれます。

 

軍人は戦が本業ですし、

玄人からみて「ここでは戦うべき」というのもあるでしょう。

 

ですが、返って、しなくていい戦をしてしまう。との批判があります。

 

日本では、満州事変→日中戦争→太平洋戦争と、「軍が独走した」とよくいわれます。

 

軍が独走し、政治が軍を抑えれなかった。と。

 

ですから、そうならない為、軍のお頭を文民にして政治が軍を抑えれる様にしよう。と。

 

正しいのもあるんでしょうけど、

私はこの説には懐疑です。

 

軍人も有象無象ですから、中には政をシカトしてでも戦いたいサイコパスみたいな人もいるでしょう。

 

ですが軍人だって人ですから、死の危険を冒さなくて済むならそっちがいいでしょうし、

家族も顧みなきゃいけません。

 

己が死んだら残される家族を鑑みれば、無謀な戦を「戦います!」といえる軍人は少ないんじゃないでしょうか!?

 

そういう観点があるので、「軍人だから戦い好き」とみるのは早計じゃないでしょうか。

 

 

究極の国民主権説

 

軍が動く=国家権力の発動

です。

 

現在の民主国の殆どは、国家権力は国民にあり。とする国民主権をとっています。

 

「民主国の権力者は国民だから、軍といえど国民の命令に従って頂きます」

という観点で、国民の代表を軍のお頭に据える。というんですね。

 

私はこちらの説を支持します。

 

というのも、民主国の省庁のお頭は、防衛省に限らず、殆どが生抜の官僚じゃなく、国民の代表たる政治家がお頭になりますよね。

 

防衛省だろうが、大蔵省だろうが、厚生省だろうが、国交省だろうが、警察だろうが、

権力者たる国民の為に働いて頂きます。

とするなら、軍を含めた国の公務員のお頭に国民代表の政治家がなるのは、民主正当性があります。

 

 

気にくわない点

 

題は文民統制の’問題’ですが、

問題というより、私個人が気にくわない点というのが正しいですね。

 

 

苦労を共有してない

 

軍は訓練も生活も上下関係も、とても厳しいし、一般とは全く異なった、特殊な業界です。

 

泥水を啜る訓練を軍人はしてるのに、

お頭になるのはそういうのをしてない文民です。

 

文民には文民なりの苦労やしんどさはあるんでしょうが、

軍人がしてる苦労をしてない文民がお頭になったって、’お客’にはなれるかもしれませんが、’仲間’や’同類’にはならないでしょう。

 

ですから、そういう文民へは、軍からすれば「我々の立場や気持ちを分ってくれてない」っていうのは、どっかにあるんじゃないでしょうか!?

 

こういう構造って、官僚の天下りでもありますね。

 

例えば道路公団の偉いさんは、国交省の天下りが占めてたらしいです。

 

道路公団の生抜って、出世に限界があったんですね。

 

天下りだから批判されて

文民統制だから批判されない

というのは、1つの理屈ではありますが、

 

「偉いさんが生抜じゃなくて、よそからのお客さん」

という構造は一緒です。

 

天下りが批判されるんなら、文民統制も相応に批評されていいんじゃないかと、私は存じていますが、

幾ら民主正当性があるといえど、聖域化されすぎなんじゃないかと…

 

 

的外れな命令

 

文民統制とは、専門家たる軍人を、素人の文民が使う、というものでもあります。

 

立場は文民が上ですが、

専門家たる軍人の意見や助言は重々参考にしなきゃいけません。

 

ですが軍人を蔑ろにしたり、文民都合を軍に押付たらどうでしょう。

 

軍人に限らず、こういう上司に仕える部下は、やってらんないでしょうね。

 

まして軍の任務は命がけですから、そんな文民の為に己や己の部下を危険に晒せたくは、私はないですね。

 

しかもこういう命令って、失敗もよくあるんじゃないでしょうか!?

 

失敗したらしたで、文民は「わしの命令をきちんと遂行せんかったからじゃ」っていうでしょうが、

軍からすれば「絶対に失敗する命令を押付けやがって」って、なったりもするでしょうね。

 

文民と軍で、互いを尊重した意志疎通ができなければ、文民統制は失敗の可能性が高くなるでしょう。

 

 

軍への不信

 

「軍は戦い好きで脳筋のおかしな連中」

「軍人は危険だから、我ら良識ある文民が抑付けねばならぬ」

との考え。

 

殊、日本ではあるんじゃないでしょうか!?

 

日本の近代史から、そう考えたくなる人もいるのではないでしょうか!?

 

中には血と戦い大好きな軍人もいるでしょうし、歴史や大局からすれば正しいのかもしれません。

 

ですが殆どの軍人にとっては、蔑まれてるみたいで不快じゃないでしょうか!?

 

防衛にしろ災害派遣にしろ、文民の為に任務してるのに、その文民から蔑まれるとなると、文民の為に任務する気がなくなるんですよね。

 

 

文民統制の理想

 

文民統制を悪く書いてきましたが、「だから文民統制なんかやめちまえ!」とはいいません。

 

殆どの国で採用されてるからには、利が大きいのでしょう。

 

私がいいたいのは、「互いへの尊重と敬意があるべき」です。

 

軍人の文民への奉公精神もそうですが、

文民の軍人への「我らの為に任務してくれてる」という感謝を常備してほしいんです。

 

軍人が任務してくれなかったら、有事にしろ災害にしろ、困るのは文民ですからね。

 

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