国に責任を取らせる! 国家責任法 わかりやすく

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国に責任を取らせる! 国家責任法 わかりやすく

 

 

一生、誰にも迷惑をかけずに生きれる人はいないんじゃないでしょうか!?

 

生きてると、誰かには迷惑をかけるもの。

 

迷惑をかけたら、当然、責任をとらなければなりません。

 

国も、人が運営してる以上、他国に迷惑をかける事はあります。

 

迷惑をかけたら、当然、責任をとらなければなりません。

 

そういう当り前の事も、国際法は規定しています。

 

今回は、国家の国際責任について書きます。

 

 

責任の発生

 

当然ですが、責任をとる前段階として、責任が発生します。

 

では、責任の発生要件にはどんなものがあるでしょうか?

 

 

客観的要件

 

まず客観的要件として、

 

義務の違反•不履行

 

があります。

 

更に、義務の性質での分類と、時間による分類があります。

 

性質による分類として、

 

1.結果の義務及び特定事態発生防止の義務

 

達成すべきを達成しなかった時に発生する責任です。

 

2.実施•方法の義務

 

特定の行動を、特定の方法でとらなければならないのに、しなかったら発生する責任です。

 

時間による分類として

 

1.即時的な違法行為

 

軍隊が民間航空機を撃墜する、とかですね。

 

撃墜の瞬間、違法行為が成立します。

 

2.継続的な違法行為

 

侵略戦争をずっと続けてる、とかですね。

 

戦争の間、ずっと違法行為が続きます。

 

ウクライナ侵略の露軍は、2022年の2月からずっと違法行為を続けてる可能性が高いです。

 

 

主体的要件

 

責任が国家に帰属する事です。

 

国家機関にある個人、まあ公務員の事ですが、が、

国内法の資格で国家の名でした行為、要するに仕事でやった行為は、国家の行為として、国家の責任ななります。

 

権限を超えた、越権行為だったとしても、「国家の行為」とみなされてしまいます。

 

管理監督が大切ですね。

 

立法•行政•司法、中央•地方、上下関係は問いません。

 

多いのは行政機関の、所謂 ‘公務員’ の行為ですが、

立法機関だって国際法違反の法律を作る可能性がありますし、

司法機関だってイカサマみたいな裁判する可能性があります。

 

国家の管理下にある人がやった行為が「国家の行為」になるので、

民間人の行為は基本、対象外です。

 

但し、民間人であっても、「国家の行為」とみなされる場合があります。

 

国家機関から委託されたり、

内戦等で国家機関が不在で、民間人が事実上国家権力を行使したり、

してると、「事実上の国家機関の行為」として、国家に責任が帰属します。

 

因みにですが、反乱団体が新政府になると、前政府の国家責任を引継ぎます。

 

 

主観的要件

 

主観的要件として、「故意•過失」があります。

 

わざとかうっかり、って事ですね。

 

実は、主観的が必要かについては、

「過失責任主義」と「客観責任主義」の対立があります。

 

過失責任主義は故意•過失が必要、

客観責任主義は不要

とします。

 

過失責任主義の論拠として、

「心理的要因説(黙示的国家加担説)」と「国家機関過失説」という2つの考え方があります。

 

心理的要因説、又は黙示的国家加担説は、

君主の人格の過失を主張します。

 

絶対王政の時代の考え方なので、現代ではあてはまりません。

 

国家機関加担説は、

意図的要因=なぜそういう事をしたのか/しなかったのか?

行為基準=やった行為が標準的じゃない

から故意•過失があるんだ、と考えます。

 

一方、

客観責任主義がなぜ主観的要件を不要とするかというと、

相当の注意義務違反は、国際法上の義務の不履行、詰り客観的要件と同じじゃないかと考えるからです。

 

日本の民法では過失責任主義が採用されています。

 

国際法では、

国家責任条文は客観責任主義ですが、

判例は過失責任主義です。

 

どっちの立場に立つかで、結果が真逆なんですね。

 

 

危険責任主義

 

故意•過失が要るか要らないかで過失責任主義と客観責任主義の対立があると書きましたが、

違法性さえも不要とする考え方もあります。

 

違法性がなくても責任を負わす考え方を「危険責任主義」といいます。

 

所謂「無過失責任」ですね。

 

1960年代以降、科学技術の発展に伴い、「高度な危険性を有する活動」に、この主義を適用しようとしました。

 

飛行機とか原子力とか、1回事故ったら広範囲に大損害でしょ。

 

なので、特定の活動に対して無過失責任が規定されています。

 

無過失責任ですが、責任のとらせ方が3つあります。

 

民事責任型

 

運用してる民間に賠償責任があるとし、

国は必要な法整備をしておけばいい、とします。

 

飛行機とか、船舶の油が漏れた時の汚染とかがそうです。

 

まず責任をとらなきゃいけないのは航空会社とか船舶会社とかですね。

 

混合責任型

 

民間の負担を超える分は国が責任を負います。

 

原子力がそうです。

 

専属責任型

 

民間が原因でも、国が責任を負います。

 

宇宙開発がそうです。

 

 

違法性阻却事由

 

国際違反があっても、一定の場合に違法性が阻却、詰り消されます。

 

刑法を勉強すると、「正当防衛」とか習いますが、

アレの国際法版です。

 

どんな場合に違法性が阻却されるのでしょうか?

 

相手国の行為に基づく事由と、

外的状況に基づく事由にわかれます。

 

 

相手国の行為に基づく事由

 

相手国の行為に基づく事由には、以下3つがあります。

 

被害国の同意

 

被害者が「いいよ」って言ってんだからいいでしょ!?って事ですね。

 

許されたんですね。

幸運ですね。

 

自衛

 

自分を守る為なら致し方ないですね。

 

自衛を主張するには要件があります。

 

急迫性(必要性)

 

現在進行形で武力攻撃されてる必要があります。

 

武力以外の権利侵害については自衛できません。

 

比例性(均衡性)

 

侵略行為につり合った手段や措置でないといけません。

 

やりすぎはダメです。

 

対抗措置

 

違法行為に対し、違法行為で対抗します。

 

「目には目を、歯には歯を」ですね。

 

目には目で対抗しなければいけないので、

目を歯で対抗できません。

 

詰り、やられた違法行為に対し、同じ程度の違法行為でしか対抗できません。

 

自衛の比例性に同じく、やりすぎはダメです。

 

 

外的状況に基づく事由

 

外的状況に基づく事由には、以下3つがあります。

 

不可抗力

 

義務の履行が実質できない何かが発生した場合です。

 

災害が発生した、とか、そういうパターンですね。

 

義務の履行が実質的に不可能にならなきゃいけませんし、

自らそういう状況を作出してもダメです。

 

遭難

 

命を守る為には違法行為しかとれない場合です。

 

不可抗力と似ていますが、

違いは遭難の場合、違法行為をしない選択肢も一応あります。

 

それは死ぬ、もしくはそれに準じる位に危険な目にあう事です。

 

死んでまで違法行為をしない、という選択肢があるんですが、

そんな選択肢、あってない様な選択肢ですよね。

 

こういう時に遭難が主張されます。

 

勿論、この場合も、自分達が招いた危難でないのが必要ですし、

遭難のせいで周りにより大きな危険を招かない必要もあります。

 

緊急状態

 

重大で切迫した危険から自国を守る為、意図的に違法行為をします。

 

事故して油漏れしたタンカーを爆撃した「トリー•キャニオン号事件」という事件があったのですが、

こういう場合に主張できます。

 

 

追及

 

責任が発生すると、発生した責任を追及します。

 

法的に責任追及するからには、法的な利益、「法益」といいますが、が侵害されてる必要があります。

 

この法益侵害について、

損害説と義務説の対立があります。

 

損害説は、法益侵害は国家責任の発生の要件と考えます。

 

義務説は、法益侵害を国家責任の追及の要件と考えます。

 

結局は「何とかしろよ」と言わなければならないのですが、

一応こういう対立があるのは紹介しておきます。

 

 

外交的保護権

 

外国で自国民が違法行為された場合、本国が在外自国民を保護する権利です。

 

その人に代わって国家が相手国の責任を追及します。

 

国家の権利であって個人の権利ではありません。

 

本国が外交的保護権を行使する前に、個人が権利侵害が発生した国で利用可能なあらゆる救済手段を尽くす必要があります。

 

その国の役所に訴えても、裁判に訴えても救われなかった時に始めて外交的保護権を主張できます。

 

これを「国内的救済完了の原則」といいます。

 

相手が外国人だからって、外交的保護権を追及されまくったら外交関係がギスギスするでしょ。

 

だから最後の手段にしたんです。

 

国内的救済完了の原則の例外として、

 

対象は民間人なので、国家機関にある人、大使とか大臣への違法行為では外交的保護権は使えません。

 

被害者と加害国に自発的関係がない場合も国内的救済を完了してる必要はありません。

 

外国へ行くのは、普通は自分の意思ですが、

北朝鮮みたいに国家が無理矢理に民間人を拉致したりするのに、北朝鮮で真面な裁判がなされる訳ないじゃないですか。

 

この場合、1発で外交的保護権を行使できます。

 

後は裁判所が被害者を救済する様になってない場合、

国際法を適用しない、被害者の勝訴の見込みがない、裁判所が違法行為をした行政や立法機関に制御されてる、

とかでも国内的救済完了を尽くす必要はありません。

 

やってもどうせ救済されませんから!

 

 

国際社会の一般利益の侵害

 

「対世的義務」という義務があります。

 

全ての国が守らなきゃいけない利益です。

 

侵略禁止、ジェノサイド禁止、奴隷制禁止、人種差別からの保護、があります。

 

こうした義務に違反した国に対して、影響を受ける国は責任追及できます。

 

じゃあどこまでが ‘影響を受ける国’ なのかというと、

「特別影響国」は確実に ‘影響を受ける国’ といえます。

 

侵略された国とか…

 

それ以外の国については、判例も2転3転してるので、

はっきりした結論は書けません。

 

まだまだこの辺は国際社会は未成熟なのです。

 

 

解除

 

責任は、当り前ですがとらなければなりません。

 

ここでいう「解除」とは、「責任の取り方」ともいえます。

 

責任の取り方は主に3つです。

 

原状回復

 

元に戻す事です。

 

分り易いですね。

 

只、全てが原状回復できる訳ではありません。

 

人命が失われたりとか、取返しのつかない事があります。

 

又、海中深くに沈没した船を引上げて修理するとか、

やろうとすればできるけど、そんな事する位なら別の方法がより合理的な場合も、原状回復はしなくていいです。

 

被害国が原状回復を望まず、他の方法を望む場合もあります。

 

だったら他の方法で責任をとらなければなりません。

 

金銭賠償

 

お金に換算できるのは金銭で賠償するのもあります。

 

国内法でも損害賠償とかありますから、分り易いですね。

 

満足

 

原状回復、金銭賠償以外の全てを纏めて「満足」といいます。

 

主に精神的損害で用いられます。

 

満足の内容として、「違反の自認」「遺憾の意の表明」「公式の陳謝」等があります。

 

国内裁判で「うちの国が悪かった」と判決したり、

素直に謝ったりですね。

 

よく「遺憾の意を表します」とかテレビで言ってて、「何を言ってるんだ!?」って思うかもしれませんが、あれも満足として責任をとってるのです。

 

 

終りに

 

如何でしたか?

 

今回は国家の国際責任について書きました。

 

結構いろいろグチャグチャ書いてしまいましたね…

 

書きすぎて纏まりのない記事になったかも…

 

毎回そうなんですが、どこまで書くか、いっつも悩むんですね…

 

ざっくりした流れとして、

発生→追及→解除

の3段階です。

 

なので、各論点がどの段階なのかを見失わない事が大切だと思います。

 

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