どっちが偉いの? 国際法と国内法 

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国際法と国内法

 

前回から国際法について書いています。

 

今回は、国際法と国内法の関係について書きます。

 

 

国際法と国内法、どっちが偉いのか

 

 

そもそも何でこんな問いが…

 

本題に入る前に、そもそも何で国際法と国内法の関係が問題になるんでしょうか?

 

国際法と国内法って「全然別じゃん!」って思いますよね!

 

残念ながら、全然別であるが故に、この点が議論になります。

 

例えば、

 

国際的には「軍縮しましょう」条約を結んでおきながら、

国内的には軍備拡張ばっかしてたらどうですか?

 

或は、

「麻薬撲滅しましょう」条約を結んどきながら、

麻薬を取締る法律がなかったらどうでしょう?

 

最初の例えは「積極的抵触」

2番目の例えは「消極的抵触」

といいますが、

全く次元が違うが故に、国際法と国内法で真反対な内容になってしまってたり、

国際法を守れる根拠が国内にない、

という場合が考えられます。

 

「これではいかんだろ!」というのがここでの考えです。

 

 

国際法と国内法の関係

 

ではこれから、国際法と国内法の関係性についてみていきます。

 

 

「関係ない」説

 

学術的には2元論といわれます。

 

この説は、国際法と国内法は「そもそも矛盾しません」と考えます。

 

でも、さっき書いたみたいに、矛盾してる様な例もあるじゃないかって話ですよね。

 

この説はそれをどう考えるかというと、

1.国際法を守れなかったとして、他でも国際法を守れない場面はある。それと同じ様に国家責任をとればいい。

2.国内法が未整備だったとして、国内法の未整備は幾らでもある。粛々と法律を作ろう。

てな塩梅。

 

シンプルに考えるのは悪くありませんが、

国際法が国内で直接適用される例があるのですが、この説ではそれを説明できません。

 

なので通説とはいえないと思います。

 

 

「明確に上下関係がある」説

 

学術的には1元論といいます。

 

  • 国際法が偉い
  • 国内法が偉い

 

両方の説がありますが、

 

国際法が偉い、と考えると、

折角、国会が一生懸命作った法律が条約によって簡単にひっくり返されてしまいますし、

 

国内法が偉い、と考えると、

いつ何時、条約がひっくり返されるか分んないので、「あの国は信用できないよね」って噂になってしまいます。

 

この説も、余り人気のある説とはいい難いですね。

 

 

「矛盾する範囲で調整しましょう」説

 

学術的には等位理論とか、調整理論なんていわれたりします。

 

この説は、「基本的には国際法と国内法は別です」って説です。

 

その点では2元論に近しいのですが、

国際法と国内法が矛盾する範囲では調整する法的義務がある、とします。

 

「これは守れる。これは守れない」等をきちんと外交交渉したり、

外交で決ったものはきちんと法整備するとか。

 

どっちが偉いか、はっきりさせた方がいい気もしますが、

ある程度曖昧な部分を残した方が落し所としてはいいんですね。

 

 

国際社会での国内法

 

当り前ですが、国際社会を規律するのは国際法です。

 

なので国内法を理由に国際的な責任逃れは許されません。

 

「うちの国ではこんな法律があって…」とかいわれても

「しらんがな!」って話ですよね。

 

ま、単純に分り易いでしょ!

 

 

国内法の中の国際法

 

ややこしいのは、国際法は存在するとして、それをどう国内に受入れていくか、です。

 

別の書き方をすれば、

国際法をそのまま受入れるのか、

それとも受入れる為の法律を作るのか、

です。

 

法律なしには国際法を受領できません! というのを「変型方式」といいます。

 

英国、及び昔に英国の植民地だった国が、こういうやり方します。

 

対して、そのまま受領するのを「一般的受容方式」といいます。

 

こちらの方が多数派ですかね。

 

日本もこのやり方です。

 

先程「そのまま受入れる」と書きましたが、

何でもかんでもそのまま受領する訳ではありません。

 

一般的受容方式=国際法をそのまま国内法に適用する

との説明が一般的ですが、

何でもかんでもそのままとはいなかい以上、説明としては不十分だろうというのが個人的な見解ですが、

なぜか上記の説明が広くなされています…

 

講学上は「自動執行性のある条約」といいますが、

確かにさらっと国内に適用できる条約も、あるにはあります。

 

只、全てが全て自動執行性がある訳ではないので、

条約を適用できるかどうか、やはりその国の法令を参照しなければならない場面もでてきます。

 

日本の場合、法的に国際法を適用できたとしても、最終的には政令を定めなければなりません。

 

仮に法律がないなら、法律を作らなければならない場面もでてきます。

 

ここら辺は、変型方式とさほど違いがありませんね!

 

で、じゃあどんな条約が自動執行性があるのか等は、

正直、条約によりけりなので、一概に判断基準は示せません。

 

申し訳ございませんねー。

(反省してない…)

 

とまあ、ここまでが主に条約の国内適用についてでしたが、

国際慣習法は少し違います。

 

変型方式の国の場合(英国とか)、国際慣習法は古くから国内法の一部として裁判で使われてきた歴史ぐあります。

 

ややこしいのは一般的受容方式の国。

 

国際慣習法は全国家を拘束しますから、

当然、国内法が未整備だからといって国際慣習法から逃れられはしません。

 

一方、だからといって無条件に国際慣習法を国内に受領してるかというと、そうでもありません。

 

一応、傾向はございまして、

国家の権利を認める国際慣習法は、割とすんなり受領してます。

 

対して、個人の権利に関わる国際慣習法は、余り乗り気じゃない印象を受けます。

 

特に、外国人が関わってきたら、より消極的です。

 

結局その辺は、国家として都合よく立回ってる、っていうのが現実でしょうか。

 

 

纏め

 

纏めると、

 

国際法と国内法をどう調整するのかというと、

矛盾抵触した部分だけを調整して、それ以外では特に上下関係を決めないのが一般的

 

国際法違反にその国独自の法律を言い訳にはできない

 

国際法を国内にどう受入れるかは、各国の都合のいい様にやってるが、

一部を除き、何らかの法的な受容手続きがある

 

ですかね。

 

今回はこの辺で!

 

ではまた次回、お会いしましょう~

 

 

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