国家領域

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国家領域

 

土地って複雑ですよね。

 

法律や制度も難しいし、

そもそも一生の内でそうコロコロ買っては捨て、買っては捨て、するもんじゃないですし。

 

多くの人が不動産に慣れないまま一生を終えるんじゃあないでしょうか!?

 

民間の不動産でもこんな難しいんです。

 

それが国レベルだと、専門の国際法を学ばねばなりません。

 

という事で、国に関する不動産の勉強、

「国家領域」について記述します。

 

 

国家領域とは

 

国家領域とは、一口で書けば国土です。

 

領土、領海、領空を含む立体的な空間で、

それらの中の全てに国家の主権が及び、

他国は口出し手出しできません。

 

ややこしいのは、領土領海領空だけじゃなく、

例えば200海里経済水域みたいに、部分的にしか主権が及ばない場所も国家領域の一部と解されています。

 

 

全く自由でもない

 

国家領域には、その国の主権が及ぶので、領域の中で何するかは原則、その国の自由です。

 

然し、法の世界には原則と例外があって、

幾ら自国の地であったとしても、受けなければならない制約はあります。

 

前回記事で無害通航権を書きましたが、

船は、通るだけなら外国の領海に勝手に入ってもよいのです。

 

何でこんな決りがあるのか分りませんが、

これは国際慣習法上の決りなんだとか。

 

他にも主権免除といって、外国の軍艦や大使館等の中には、裁判権が及びません。

 

なのでそれらの中で犯罪があったとしても、警察は勝手に軍艦や大使館には入れないんですね。

 

更に、「領域使用の管理責任原則」という国際慣習法もあります。

 

これは「外国の迷惑になる様な領域の使い方するな」という原則で、

実際あったのは、カナダの工場の排煙が米国の森林や農作物に被害を与えました。

 

すったもんだあったものの、カナダの国家責任を認められ、賠償判決がでました。

 

これは裁判にまで発展した例ですが、

日本の状況で考えると、例えば中国から流れてるPM2.5みたいな有害な大気について、中国に文句を言える事になりますし、

逆に福島原発の汚染水放流について、日本は周辺国から文句を言われかねない立場にあります。

 

PM2.5にしろ、汚染水にしろ、自国で完結してれば国際問題まで発展しないのですが、

外国に影響が及ぶとなると、領域使用の管理責任原則の観点から国家責任を負わなければならない可能性がでてきます。

 

今までの例は国際慣習法上の制限でしたが、

条約による制限もあります。

 

大きな川や運河がある国は、条約によって外国の船が通っていいとなっていたりします。

 

条約が認める以上、外国の船の出入は受任しなければなりません。

 

 

領域の取得

 

国家領域ですが、どうやって手に入れるのでしょうか!?

 

大きくわけると、「原始取得」と「承継取得」の2つによって入手します。

 

 

原始取得

 

原始取得とは、どこの国でもなかった場所(「無主地」といいます)を領域に入れる事です。

 

「無主地」ですが、

昔は西欧文明に達してない所は無主地とされました。

 

それだと西欧列強が不当な支配をしてしまうので、

現代では何らかしらの政治性•社会性をもった人間集団がいれば、無主地にはなりません。

 

殆ど人がいない様な所しか、現代では ‘無主地’ 扱いされないのです。

 

原始取得には更に細かく2種類あって、

「先占」と「添付」があります。

 

先占

とは、領有意思をもって、無主地を占有する事です。

 

単に「発見しました」とかだけじゃ、ダメで、

ちゃんと乗込まないといけないのです。

 

添付

とは、自然や人工的に領域が拡大する事です。

 

火山が爆発して新しい島ができました、とか、

人工島を造りました、とか。

 

日本の最南端の島に、沖ノ鳥島という島があります。

 

この島、非常に小さな島で、侵食によってなくなわってしまうのではと危惧されていました。

 

そこで80年代に大規模工事で護岸を固めて、侵食防止しました。

 

日本としては、この工事も「添付です!」と主張してます。

 

こんな島を守ってどうすんだ、と思うかもですが、

この島を失うと、この島の周りの半径200海里の経済水域が全て失われます。

 

だから大掛りな工事してまで「添付です!」と主張し続けるのです。

 

 

承継取得

 

承継取得には更に細かく4つに分類されます。

 

その4つとは、「割譲」「併合」「征服」「時効」です。

 

割譲

とは、条約によって領域の一部を譲って貰う事です。

 

戦争で負けたから、っていうのはイメージし易いでしょうが、

土地売買よろしく、買ったのもあります。

 

その代表がアラスカ。

 

米国がロシアから買いました。

 

ソビエトになる前の、帝政ロシアですけどね。

 

併合

は、条約によって領域の全部が移転される事です。

 

割譲との違いは、一部か全部か。

 

併合されると、された国は消滅し、人は併合した国の国民になります。

 

現代国際法では、武力での併合は違法なので、現代で併合は滅多ないですが。

 

征服

とは、実力で奪う事です。

 

条約とか関係なしに、です。

 

現代国際法では、武力行使自体が違法なので、現代で征服とか、まずないです。

 

昔あったよ、位に覚えておけばいいんじゃないでしょうか。

 

時効

とは、長い間、平穏に領有意思をもって占有すると、その領域を手に入れれる事です。

 

「時効」というと、刑法上の控訴時効が有名ですが、

国際法にも時効はあります。

 

長い間占有されてるんだから、もはや占有国の領域だろう、というんですね。

 

それが嫌なら、占有されてる国は何らかの行動するべきです。

 

日本は韓国に対し、竹島の件を事ある毎に話題にしますが、

そうしないと時効が認められる可能性があるからです。

 

 

国境

 

言わずもがな、国と国との境です。

 

最も簡単なのは、自然境界を使う事です。

川とか山脈とか。

 

但しアフリカみたいに、自然とは違う事情で国境が決められる場合もあります。

 

この形は、話がややこしくなります。

 

大体は支配した国々が勝手に決めた国境ですから、独立の時に問題になります。

 

例えば部族毎に国境を引き直してもよかったでしょうし、自然条件で引き直してもよさそうなものですが、

そうすると、どっからどこまでをどの国とするかで新しい争いが起きる可能性があります。

 

なので、多くの場合、植民地時代の境界がそのまま国境になっています。

 

「現状承認の原則」といわれていますが。

 

国境ですが、すんなり決まればいいのですが、

境界線を巡って争われたりもします。

 

境界線を巡る争いを「国境紛争」といいます。

 

一方で、ある地域がどっちの領域かでもめたりもします。

 

どっちの領域かでもめるのを「領土紛争」といいます。

 

線でもめるのか、

地域の帰属でもめるのか。

 

いずれにしても、国境を決めるのは楽ではないのです。

 

 

纏め

 

如何でしたか!?

 

今記事では国家領域について書きました。

 

纏めると、

 

国家領域とは、その国の何らかしらの主権が及ぶ場所

 

主権が及ぶとはいえ、国家領域には制限が課される場合がある。

 

領域の権限を得るには

1.原始取得(先占、添付)

2.承継取得(割譲、併合、征服、時効)

がある。

 

国境を定めるのは大変

 

でしょうか。

 

小さな島を護岸で固めたり、

小豆に領有権を主張したり、

領域を維持するのもなかなか大変どすな!!

 

相変わらずですが、

話をややこしくしない為に色々端折ってます。

 

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