海の国際法である海洋法を海域別に解説

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海の国際法である海洋法を海域別に解説

 

♪海は広いな、大きいな♪

 

歌にある海の広さや大きさは、面積だけではありません。

 

色んな国が海に面してます。

 

色んな国の利害が絡む以上、海に関する国際法も大容量です。

 

今記事では、そんな ‘海の国際法’

「海洋法」を勉強しましょう!

 

 

海の ‘種類’

 

一口に海といっても、種類があります。

 

海域、とでもいいましょうか。

 

海域といえば、理解の世界では「太平洋」とか「大西洋」とかがありますが、

国際法は法学、社会科です。

 

法的な意味合いで海をわけてるのです。

 

それらの ‘海域’ とは、

内水、領海、国際海峡、群島水域、排他的経済水域、大陸棚

があります。

 

 

内水

 

湾、内海、港、等です。

 

湾は、一定の要件があり、全ての湾が内海になる訳ではありません。

 

内海とは、例えば瀬戸内海なんかがそうです。

 

内水は、国際法的には陸地と同じ扱いです。

 

海なのに陸とはどういう事か!?

 

それは領海との違いではっきりします。

 

 

領海

 

陸地から最大12海里までの海域です。

 

基本的には領土と同じく、その国の主権が完全に及びます。

 

但し、領海では無害通航権を受任しなければなりません。

 

無害通航権とは、

「国際法における主権 元公務員受験生が語る」

でもざっくり書きましたが、

外国の船が勝手に領海を通れる権利です。

 

もっとも、無害に通るだけで、

ゴミ捨てたり、魚を獲ったりはできませんし、

不用意に止まったりもしてはいけません。

 

さっさと通りすぎなきゃいけないのです。

 

この無害通航権が、内水との違いです。

 

内水には無害通航権がありませんので、

外国船は通るのすらできません。

 

 

国際海峡

 

「公海又は排他的経済水域を繋ぐ、幅24海里以内の海峡」と定義されます。

 

英仏海峡、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、ジブラルタル海峡、

等が国際海峡とされています。

 

例えば公海と公海の間にある海峡となると、

色んな国の船が沢山通ります。

 

幅24海里となると、片方の陸地から12海里、もう片方の陸地からも12海里で、

本来なら領海に分類される海域です。

 

「無害通航権があるからいいんじゃないか」と思うかもしれませんが、

領海では、沿岸国が「有害かな!?」と疑ったら停船させれますし、

無害通航権は船だけなので、飛行機は領海には入れません。

 

そこで、航行の便を図る為に作られたのが国際海峡です。

 

もっと正確に書くと、国際海峡に認められる「通過通航権」です。

 

通過通航権が認められると、無害性が直接の要件じゃなくなるので、

危険物質、たとえ核兵器を堂々と積んでたとしても、通航は妨げられません。

 

それに、最も大きいのは、上空飛行の自由があるので、飛行機が通り放題なのです。

 

この国際海峡、日本にも条件を満たす海峡が5つあります。

 

即ち、宗谷•津軽•対馬(東側と西側)•大隈の5つです。

 

ですが、日本政府は、これらの海峡を国際海峡とせず、

領海を3海里とし、海峡中央に公海を残しています。

 

領海って、最大12海里ですが、

その範囲なら好きな海里に設定していいんですね。

 

なんでこうしてるのかというと、

よくいわれるのが、「全てを領海=国際海峡にしてしまうと、米国•中国•ロシアの核を積んだ船が入ってくるので、非核3原則に違反する」という理屈。

 

1番よく語られる理由ですが、

現在、政府は公式には否定してるらしいです。

 

他にも利点はあって、

あえて公海を残す事で、「ここ通れ」と、事実上、指定できます。

 

しかも、全部を国際海峡とするより、

領海-公海-領海 とした方が、返って自由な域、特に飛行機が飛べる域を制限できます。

 

親切にみせかけた、なかなかずる賢いやり方ですね(苦笑)

 

 

群島水域

 

小さな島が点在する海域です。

 

1番外側の島々を結んだ線の中の水域を群島水域として指定でき、

その線から12海里を領海とできます。

 

(「無害通航権と群島航路 – われら海族http://wareraumizoku.com/territorialsea.html」から引用しました)

 

群島水域の中では、当然、無害通航権が認められます。

 

又、群島国家は、「群島航路帯通航権」なる権利…というか群島国家にとっては義務なのですが、

を設定できます。

 

群島国家が「ここを通れ」「ここ以外通るな」といえる水域ですが、

これを設定すると、群島航路帯では国際海峡の通過通航権と同じ扱いになります。

 

詰り、飛行機が飛ぶ自由を認めなければなりません。

 

そのかわり、他の水域には無害通航権を認めなくていいのですがね。

 

群島国家は、

全ての海域に無害通航権を認めるか、

(上記だと全ての海域で飛行機が飛ぶのを制限できる)

特定海域だけに通過通航権を認める代わりにそれ以外の海域に外国船を入れないか、

の選択をする事になります。

 

 

排他的経済水域

 

200海里経済水域ともいいます。

 

陸地から200海里であって、

領海から200海里ではないので、

多くは200-12=188海里

が純粋な経済水域です。

 

この海域では、’経済的主権’ のみが及ぶとされます。

 

魚を獲ったり、資源を取ったり、ですね。

 

特に魚ですが、

獲り放題ではありません。

 

獲りつくして絶滅。なんていうのを防がねばならないからです。

 

絶滅しない程度の量、回復可能な量の中で漁をしなければなりません。

 

その範囲の中で「漁獲可能量」を決め、漁獲可能量に則って漁をします。

 

余った分は、他国に分け与える、と決っています。

 

もっとも、協定その他の取決めがいるので、余ったから即座に獲り放題ではないんですがね。

 

回遊魚みたいに、複数国の経済水域を行き来する魚は、

どの国がどれ位とるかは、結局は交渉次第です。

 

権利が被れば最後は交渉、というのが国際法の哀しい所。

 

経済利権以外の権利は主張できないので、

外国の船は自由に通り放題ですし、飛行機も飛び放題です。

 

 

大陸棚

 

「水深200m又は天然資源の開発可能な水深」にある海底です。

 

地形的にいえば、陸に続く比較的なだらかな傾斜の海底を指します。

 

大陸棚では、海底に対しての経済的主権を主権できます。

 

埋まってる資源を掘ったりできるんですね。

 

経済的主権が主張できるという点は200海里経済水域と似ていますね。

 

距離的にも、陸地から200海里が1つの基準となっていますので、

基本は200海里経済水域と同じです。

 

例外として、地理学的に200海里を超えても大陸棚が続くと、350海里まで大陸棚が認められる場合があります。

 

(「領海等に関する用語 – 海上保安庁 海洋情報部」https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/zyoho/msk_idx.htmlから引用しました)

 

この場合、経済水域は200海里までなので

350-200=150海里は海底のみ経済的主権を主張できます。

 

「だったら海底も200海里経済水域と同じにすりゃいいじゃないか」と思うでしょう。

 

何でこうなってるかというと、

米国の当時のトルーマン大統領が、そう宣言したから。

 

世界で最も影響力のある国がそう宣言するんだし、海底だけでも経済的主権が及ぶのならと、

追随する国が多数でました。

 

現在、大陸棚は国際慣習法とされています。

 

宣言から国際慣習法になるまで、かなり早く、

国際慣習法が、必ずしも長期間の時間が必要でない、最たる例になっています。

 

 

纏め

 

如何でしたか?

 

この記事では、海の国際法、海洋法について書きました。

 

  • 内水
  • 領海
  • 国際海峡
  • 群島水域
  • 排他的経済水域
  • 大陸棚

 

各海域毎に国際法があってややこしいですね。

 

海は各国の利害が絡んでおり、

自分達の利益を最大化しようとした結果、こんな複雑になってしまいました。

 

なかなか一筋縄ではいかないものですね(苦笑)

 

今記事でも、文章を滅茶苦茶にしない為、端折って説明しています。

 

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