国際経済法をわかりやすく解説 GATT・WTO・地域経済統合

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国際経済法をわかりやすく解説 GATT・WTO・地域経済統合

 

経済ってとても大切ですよね。

 

経済がこじれると、個人にも社会にも色々な問題を引起します。

 

国際社会に目を向けると、経済の問題がこじれて戦争にまで発展した例も!

 

経済の安定化をすべく、国際社会も努力してきました。

 

今回は、国際社会と経済についての「国際経済法」を書きたいです。

 

 

GATT

 

「関税•貿易一般協定」、通称「GATT」。

 

GATTで「ガット」と読みます。

 

元々は「国際貿易機構」、通称「ITO」を作る予定でした。

 

米国が音頭をとってITOを作ろうとしたのですが、

その為に作った「ITO創設ハバナ憲章」を、当の米国の議会が批准を拒否します。

 

米国では結構こういう事があるんです。

 

大統領や行政側が頑張って条約を結んだのに、議会が批准を拒否する、という…

 

そういう事もあって、ITO創設は失敗しました。

 

ITOは、労働問題や投資に関して等、様々な内容を規定していましたが、

その中でも貿易、特に関税についてだけでも何とかいかせないか、という話になりました。

 

そうして採択された条約がGATTです。

 

実はこのGATT、長い間、発効しませんでした。

 

各国、気に入らない条文があったみたいです。

 

発効はしなかったものの、「暫定的適用議定書」を附属書としてつける事で、何とか運用されてる状態が長く続きました。

 

この状態を何とかしようと、加盟国で「ラウンド」と呼ばれる多角的交渉が何度も行われました。

 

発効せず、暫定的運用のGATTですが、

一方で、「締約国団」「理事会」「事務局」も設置され、段々と国際組織の体裁を整えていきました。

 

最終的に、1994年に、WTO協定が発効し、その附属書としてGATTが正式に発効するに至りました。

 

 

GATTの内容

 

GATTの大きな内容として、「関税等についての一般的最恵国待遇義務」と「非関税障壁の原則禁止」があります。

 

最恵国待遇とは、ある国と結んだ有利な条項を、自動的に別の国にも適用します。

 

これを加盟国は一般的に認め合います。

 

非関税障壁の原則禁止ですが、

特に数量制限は一般的に禁止です。

 

「1万tまでしか輸入しません!」とかはダメです。

 

大きくこの2つです。

 

 

WTO

 

 

基本構造

 

GATTの問題点を解消し、1994年に設立されたのがWTOです。

 

WTO協定により設立されました。

 

WTO協定には、更に4つの附属書があります。

 

附属書1ですが、更に3つに分かれます。

 

1つ目がGATT。

 

WTOに吸収される形になりました。

 

GATTが最初にできたのは1947年ですが、

94年のGATTは、47年のGATTとは別物として区別されます。

 

2つ目が「サービスの貿易に関する一般協定」

通称「GATS」

(「ガッツ」と読みます)

 

3つ目が「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」

通称「TRIPs」

(「トリップス」と読みます)

 

附属書2は紛争解決について、

附属書3は貿易政策審査制度、

附属書4は複数国間貿易協定

 

WTOに加盟すると、附属書1~3は強制的に加盟しなければなりません。

 

附属書4は加盟するかしないかは自由です。

 

 

紛争解決

 

貿易に関する主な問題は、値段です。

 

国産品と輸入品で、輸入品の方が安ければ貿易は促進されますが、国産品が売れなくなります。

 

国産品が安ければ、国産品は売れますが、貿易は停滞します。

 

国産品と輸入品の値段を調整する方法で一般的なのは、関税です。

 

安い外国産に関税をかけて、国産との値段を調整する。

 

関税が高すぎると、揉めます。

 

WTOが念頭にあるのは、主に関税です。

 

然し関税以外にも、例えば補助金を交付する等して国産品と輸入品の値段を調節したりするでしょう。

 

こうした関税以外の貿易問題も、WTOに訴えられます。

 

WTOに訴えるとどうなるか?

 

全会一致で反対がない限り、「パネル」とよばれる小委員会が設置されます。

 

「全会一致で反対がない限り」というのは、1ヶ国でも賛成すればパネルは設定されるので、

事実上、訴えればパネルは設置されます。

 

だって訴えた国はパネル設置に賛成するに決ってるじゃないですか!

 

こういう方式を「ネガティブ•コンセンサス方式」といいます。

 

このパネルの報告書に不服があると、当事国は上級委員会に申立てができます。

 

なのでWTOはパネルと上級委員会の2審制になってるんですね。

 

 

地域経済統合

 

一部の国々で事実上全ての貿易障壁を廃止し、単一市場を形成するものです。

 

WTOの最終目標は、全世界•無差別に関税を低くし、自由貿易を促進しようというものです。

 

でも、全世界一律となると、各国の調整が非常に難しいです。

 

そこで、各国が、条件の合う国と先に自由貿易に関する条約を結んでいく様になります。

 

WTOとしては、本来全世界でやるべきものだったのを一部地域で先行されるのは好ましくないのですが、

この動きが、やがて全世界に波及するのであればいいだろうというので、例外的に認めています。

 

単純に認めるのでなく、以下要件があります。

 

1.実質全ての貿易について、関税•貿易障壁が廃止されてる事

2.以前より関税その他の貿易障壁の全般的水準が低い事

 

言ってる事がよく分りませんが、

要するに殆ど「自由貿易やれ」と言ってるに等しいので、かなり厳しいといえます。

 

最終的には全世界で自由貿易を実現させたい。

それを一部とはいえ始めてくれるのならよかろう。

という魂胆ですね。

 

具体的にどいいうものがあるかというと、3つです。

 

まず1つが「関税同盟」

 

中では貿易障壁をなくし、

外に対しては同じ関税•貿易規則を適用します。

 

ECがそうです。

 

外からスペインに輸出する際も、ポルトガルに輸出する際も、関税率は同じです。

 

次に「自由貿易協定(FTA)」

 

中で関税その他の貿易障壁を廃止するのは関税同盟と同じですが、

外からの輸入品に対しての関税は各国の自由。

 

カナダ、米国、メキシコの3ヶ国が加盟する「北米自由貿易協定」が有名ですが、

日本から米国へ輸出する際の関税率と、日本からカナダへ輸出する際の関税率は違います。

 

これが関税同盟との違いです。

 

自由貿易協定の発展版といえるのが「経済連携協定(EPA)」

 

自由貿易協定に加え、投資とか中小企業協力なんかも含まれる、広範な自由貿易の協定です。

 

地域間で経済統合が進むと、今度はより規模が広範囲になります。

 

その代表格がTPP、なんですが…

 

TPPでは、米国が抜けたりと、

当初目指してたものにはなってない様で…

 

やはり世界規模で自由貿易するのは、なかなか難しいんですな!

 

 

纏め

 

如何でしたか?

 

今回は国際経済法について書きました。

 

‘経済’ といいつつ、中身は殆ど貿易でしたね。

 

纏めると、

 

世界的な自由貿易をしようとITOを作ろうとしたが失敗

 

貿易については長らくGATTが担ってきた。

 

GATTの大きな内容として、「関税等についての一般的最恵国待遇義務」と「非関税障壁の原則禁止」があり、特に数量制限は禁止

 

GATTの問題を解消してできたWTOには、附属書1~4までがあり、附属書1には更にGATT、GATS、TRIPsがある

 

WTOの紛争解決手続きはパネルと上級委員会の2審制

 

地域経済統合には関税同盟、FTA、EPAがある

 

でしょうか。

 

自由貿易というのが本当にいいものなのか?

どこまで押し進めるべきなのかは考えものかもしれません。

 

少なくとも、WTOの理想に根強く反対する動きがあるのは事実でして。

 

誰しもが得すればいいのですが、現実には難しいのの何よりの表れな気がします。

 

今回も、ややこしくしない為に端折って説明しています。

 

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