防衛大学校の入校式
「着くだけじゃない 防衛大学校の着校」では、防衛大学校の新入生の最初の大きな行事である「着校」について書きました。
・着くだけじゃない
・入校とも異なる
というのを解説しました。
流れとしては
着校→入校
なので、
この頁では「入校」について解説したいです。
‘入校’ とは
防衛大学校でいう ‘入校’ とは、
自衛隊員、防衛大学校学生になるのを指します。
ぱっと読み当然ですが、そんなに浅くもないです。
4/1に防衛大学校に着校した新入生は、入校でもって正式に自衛隊員、防衛大学校学生になります。
私の代は入校式は4/5。
年によって異なるとは存じますが、
着校~入校の日数は大体こんなもんです。
「着くだけじゃない 防衛大学校の着校」でも書きましたが、正式な入校までは自衛隊員でも防衛大学校学生でもないので、
着校したって数日は、法的には只の民間人です。
宣誓
入校式でもって正式な防衛大学校学生になるんですが、
私の代では着校~入校までの数日のどっかで、
宣誓を書く という行事がありました。
うろ覚えですが、この宣誓が有効になると法的に防衛大学校学生になる筈で、
その日が私の代では4/5だった筈です。
宣誓は、書いたら即で提出するので、
着校したけどいざ来てみたら入校する気が失せたからって、返してはくれないです。
ですが出したからって入校までは有効じゃないので、
もし入校前に「やっぱ入校しない」っていえば、簡単に辞めれます。
宣誓はというと、入校しないなら「防衛大学校で処分します」だそうです。
逆に一旦、入校して宣誓が有効になると、
退校しようとすると自衛隊員の退職手続になります。
自衛隊員は自衛隊法により労働基準法が適用されず、防大生であってもそうなので、
民間企業や一般大学ぐらいには ‘さらっと’ は辞めれません。
着校~正式な入校までの間に中隊の新入生が集められて説明があるんですが、
その説明では
・正式な入校前の今なら簡単に辞めれる
・正式に入校すると辞めるのが一気に難しくなる
と、こんこんと説明されます。
辞める迄の期間は、大体は1ヶ月、長いと1年掛ったというのも説明されました。
なぜそんなに時間が掛るのかというと、
その説明曰く「学校長の印が要るが、学校長が忙しくてなかなか押せない場合がある」のだそう。
しかも辞めると言ったからといって、
厳しい軍隊生活が緩くなったりはせず、正式な退校までは他の防大生と全く同じ生活します。
此がけっこう辞める学生にも、続ける学生にも地獄の期間らしいです。
なので宣誓っていうのはそのぐらい重いんだよ! とこんこんと説明されます。
どうしても入校 ‘式’ が目立ちますが、
法的には寧ろ宣誓が重要でしょう。
そういう点では結婚と似てるかもしれませんね。
入校式の練習
正式な入校までの期間、防大生は ‘お客さん期間’ と呼んでる期間ですが、
この間、新入生は何してるかというと、主な行事は入校式の練習です。
法的に重要なのは宣誓であるものの、
入校式はやはり防衛大学校では1大行事です。
防衛大学校で1番有名なのは、総理大臣が来て、卒業生が帽子を投げる卒業式ですが、
入校式はその次に重要な行事です。
正式な防衛大学校学生でもないから勉強らしい勉強もないし、
日中時間は入校式の練習です。
1日の大まかな流れとしては、
起床→支度したら学生舎前の道路に整列し、行進して講堂に向かいます。
講堂、正しくは「記念講堂」らしいですが、では、卒業式もされるので、
報道とかで見てる人もいるでしょう。
講堂で何をどの順でするのか忘れました。
覚えてるのは
君が代を絶唱したのと、
宣誓と、
来賓の挨拶と、
栄誉礼かな。
想像つくでしょうが防衛大学校は自衛隊の学校なので、とにかく大声だします。
君が代もそうで、「上の席にいる我がの親に己の声が聞こえるぐらいでっかい声で歌え」といわれました。
皆そうやって大音量で絶唱するので、
その中から我が子の声を聞きわけれる親いないと存じますがね(笑)
宣誓っていうのは、前もって既に提出してるので、
式の最中に今更書くんじゃないですよ。
新入生の代表が、演壇に登って、確か校長だと存じますが、に、ここでも大声で読上るんです。
来賓の挨拶は解説不要でしょう。
偉いさん達の「新入生の皆さん、ご入校、おめでとうございます!」って挨拶です。
栄誉礼とは、偉いさんに敬意を表す儀礼です。
流石に入校式に総理大臣は来ませんが、
私の代では防衛副大臣が来ました。
恐らく防衛副大臣が、入校式にいた人の中では1番偉いんじゃないかな。
順は覚えてませんし、他にもあったかもしれませんが、
覚えてる限り入校式の本番はこんなんです。
本番はこうですが、練習の内容は本番とは多少は異なります。
防衛副大臣も、校長ですらもいちいち練習には参加しませんので。
校長が挨拶した体で内容を飛ばしたり、
防衛副大臣 ‘役’ が栄誉礼を受けたり。
他には、本番では挨拶しない人の挨拶を聞いたり。
練習で挨拶というか、演説してくれた人に、防衛大学校の卒業生で退役自衛官の人がいました。
その人曰く、
「私も入校当初はしごかれたが、お陰で今は妻よりアイロンが得意で、妻にアイロンは任せらんない」
と言ってました。
防衛大学校のみならず、自衛隊に入った新入隊員あるあるだと存じますが、
なぜか身の周りをやたらきっちりさせられるんです。
アイロンもその1つで、ちょっとでもアイロンがけがなってないと激怒されますし、
滅茶滅茶鍛えられます。
自衛隊ではアイロンがけを「プレス」なんて、お洒落な単語を使いますが、
なぜかは知りませんが其ぐらいアイロンを重視するんです。
本番で話さない人の式辞の他には、
各種の手続も練習の間にします。
防衛省の共済組合への加入手続を、練習の合間に記念講堂でしました。
優待なのか福利厚生なのかで、ディズニーランドに行けました。
今もあるかは知りませんが…
そんなこんながあるのが入校式と入校式の練習です。
観閲
広くいえば観閲も入校式なんでしょうが、
式というか式辞というか、が終れば次は観閲です。
記念講堂から陸上競技場、だったと存じますが、に移動し、
上級生の行進を見ます。
新入生も陸上競技場へ入る折は行進します。
で、上級生が行進で入場してきます。
防衛大学校は千人単位で学生がいますので、
上級生が全員、入場するのはけっこう時間が掛ります。
40分か50分ぐらい掛るんじゃないかな!?
その間、新入生は「整列休めの姿勢」でずーっといます。
自衛隊には、基本動作といって、敬礼とか気をつけとか休めとかあるんですが、
休めとは異なる「整列休め」なる動作があります。
素人には差異は分り辛いですが、
手の位置が「休め」では尻ですが、
「整列休め」では腰です。
この姿勢を1時間弱も保つのは結構しんどいですよ。
観閲の間、整列休めの姿勢を解けるのが1つあって、
どのタイミングか忘れましたが国旗(というより国旗を持った人)が新入生の前を通ります。
その折は新入生は気をつけからの敬礼します。
そこで痺れた体を癒して下さい(笑)
上級生が陸上競技場に集まると、恐らく防衛副大臣だったと存じますが、が学生長とオープン型のジープに乗って観閲します。
学生長は学生隊の長で、防大生では1番偉いです。
防衛副大臣と一緒にジープに乗れるのが学生長だけなので、
「学生長って偉いんだ~」って思ったもんです。
観閲は上級生が行進するだけじゃありません。
タイミングは忘れましたが自衛隊の航空機が飛んできます。
航空機の操縦は防大生じゃなく、
部隊配属されてる自衛官です。
「機長、○○3佐。本科○期卒業!」みたいな放送が流れます。
将来の幹部候補とはいえ、廿才なるかならんかの若造の、しかも学校の入校式の為だけに、
わざわざ航空機を飛ばす価値あるのかと当時は思いました。
航空機を1回飛ばすと、燃料やら整備やらで金かかりますからね。
個人的には今でも「あれ無駄じゃね!?」と思わなくもないですが、
そこまで祝うのは、自衛隊の団結という点では、特に精神面で大きな意義があるかもしれません。
記念講堂+陸上競技場
記念講堂での狭義の入校式→陸上競技場での観閲
が入校式です。
十年以上前なんで、今は変ってるかもしれないですね。
これから入校する学生は、いずれ体験しますが、
そうじゃない人でもご興味があれば参照して下さい。
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